厳寒の海岸にごろりと打ち上げられる氷の塊り。朝日や夕日に照らされた透明氷が青、オレンジ色へと変化し、宝石のごとく輝く。十勝管内豊頃町のジュエリーアイスが有名だが、オホーツク海側の北見市常呂の浜でも見られることから、北見市観光協会常呂支部は昨年、ところ常南ビーチに漂着する氷の愛称を独自に募集してきた。
氷塊は、川と海という〝2つの水の力〟が絡んで12月中旬から1月下旬に発生。形成されたとしてもまもなく消えてしまう儚い運命にある。
メカニズムはまだ研究段階。常呂川で形成された板状の氷が河口からオホーツク海へと流出し、海の荒波に揉まれる間に角が取れて丸くなり、海岸へと打ち上げられる。塩分を含まない川氷は透明度が高く、幻の氷塊とも言われる。発生は複雑で、出現を予測するのは難しいという。
同支部が昨年11月に実施した氷のネーミング募集には、全国から122件の応募があり、選考の結果、愛称は「龍氷~ドラゴンアイス」に決まった。
由来によると、この氷はワッカ原生花園のある砂州(さす)の龍宮街道にちなみ「七色に輝き、龍宮街道沖にすむ龍を目覚めさせ、流氷鳴きとともに流氷を呼ぶ大切な『常呂川の贈り物』」だそう。
同支部は「ドラゴンアイス」が新たな常呂の冬の観光資源となればと期待を寄せる。(寒)