※各テーマの記事は最新のニュースから順に掲載しています。
2023-11-24
社会
網走市は、計画を大幅に前倒して満杯になる、ごみの最終処分場(埋め立て処分場)の新たな延命策として「かさ上げ」工事に着手することを決めた。工事費は最大で3億4千万円と見込む。今年度当初予算には「かさ上げ」とは別の延命策に約2億円を計上している。先日の同市議会・文教民生委員会では、「市は、市民の大事な血税を使っているということをきちんと説明しないとならない」などと厳しい意見が相次いだ。(大)
■市民のお金
市のかさ上げ工事は、大空町に建設される広域(網走市や美幌町など1市4町)ごみを焼却する中間処理施設の供用開始時期が、当初見込みより1年半から2年ほど遅れることが判明したことが背景にある。
ただ、かさ上げ工事が実現できるかは現時点で不透明で、市は「可能性の調査」(市の担当者)を早急に進めたい考えだ。
市はかさ上げ工事について、11月13日の同市議会・文教民生委員会で報告した。
市は将来を見据えた上での〝かさ上げメリット〟を説明したが、金兵智則市議は「5億4千万円(かさ上げ+今年度当初予算に盛り込んだ延命策の関連予算)は、当初の計画通りに進んでいればかからなかった。市民の大事な血税を使うということを、市はきちんと説明しなければならない」と指摘した。
■最悪の事態
市の調査(昨年12月)では、現在のごみ最終処分場は「何もしなければ、あと4年(2027年)」で満杯になる。一方で、地元業者は「あと2年半(2025年)で満杯」(昨秋の時点)と指摘する。
業者の指摘する「2025年」は、大空町に建設される広域ごみ中間処理施設、市の新しい処分場はまだ完成していない。つまり、市民のごみの行き場を失ってしまう可能性が出てくる。
市議らからの「最悪の事態を想定したプランを用意すべき」との指摘に対し、市は「来年10月の調査結果を待つ」との姿勢を崩さない。
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余計な出費、市議会でも厳しく指摘
水谷市長、最悪のシナリオはいまだ示さず
水谷洋一市長は、現在のごみ問題が表面化して以降、最終処分場に足を運んだのは1回だけ。役所内でかさ上げ議論が始まった9月以降も現地を訪れた形跡はない(11月17日時点)。
広域ごみ中間処理施設の供用開始時期のずれ込みに伴い、網走市のごみ問題に対する切迫感は強まっている。水谷市長の舵取りに期待がかかる。
2023-11-23
社会
網走市は、計画を大幅に前倒して満杯になる、ごみ最終処分場(埋め立て処分場)の延命化を図るため、かさ上げ工事に着手することを決めた。ただ、かさ上げを実現できるかは現時点で不透明で、市は早急に調査を進めたい考え。もし、かさ上げ工事に着手できない場合、市民が排出したごみは行き場を失ってしまうことも考えられる。水谷洋一市長は今、ぎりぎりの判断を強いられている。 (大)
■広域の処理施設
市が、最終処分場のかさ上げ工事に着手することを決めたのは、大空町に建設される広域(網走市や美幌町など1市4町)ごみを焼却する中間処理施設の供用開始時期が、当初の見込みより「1年半から2年」ほど遅れることが判明したためだ。
広域ごみ中間処理施設の供用開始時期は当初、2028年とされていた。しかし、今年9月のメーカーアンケートの結果では、29年か30年にずれ込むことが濃厚になった(※ずれ込む要因は、建設現場の人材確保や資材調達など)。
■シナリオ狂う
網走市の最終処分場の当初計画では、32年までの15年間使えるはずだった。しかし、生ごみの100%たい肥化が実現できないことなどから、昨年12月の調査では「何もしなければ、あと4年後(26年)には満杯になる」(同市)とされた。
緊急事態を乗り切るため、市は今年2月に延命化方針を策定。各種の延命化策を講じることで、最終処分場の供用期間を28年度まで延ばすつもりだった。
網走市が当初描いていたシナリオは次の通りだ。
①28年には最終処分場が満杯になる
↓
②満杯になっても、28年から使える広域ごみ中間処理施設に網走のごみを運べばよいためギリギリセーフ
↓
③大空町の広域ごみ中間処理施設が28年までに稼働すれば、網走の〝ごみの行き場を失う〟という最悪な事態は回避できる
しかし、大空町に建設される広域ごみ中間処理施設の供用開始時期が「29年」か「30年」にずれ込む公算が大きくなったため、網走市のシナリオに狂いが生じ始めた。
最悪シナリオは次のようになる。
①網走市の最終処分場が満杯になる
↓
②広域ごみ中間処理施設は完成していない
↓
③網走市はごみの行き場を失い、市民は混乱する
市は、こうした〝最悪の事態〟を回避するためにも、最後の手段とも言えるかさ上げ工事の着手を決断したわけだ。
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かさ上げ工事には最大3億4千万円かかるとされる。多額の予算を投じることになるが、∧ごみの行き場を失う∨という最悪のシナリオを回避するための緊急措置である。
次回は、最終処分場の計画が狂ったことによる想定外の〝出費〟などを紹介する。
2023-10-26
社会
故郷やゆかりのある自治体を応援するため、納税先や使い道を自分で決めることができる「ふるさと納税」。網走市は15年前に関連条例を制定するなどして、寄付金を募り始めた。2022(令和4)年度の寄付額は20億円を超え、まちづくりを進める上で貴重な財源となっている。網走市の「ふるさと納税」の〝歴史〟を調べてみた。(大)
■2年連続
「ふるさと納税」は、国が08(平成20)年に制度化し、網走市も同年から寄付金を募り始めたが、当初は近年のように集まらなかった。
5年前の本紙記事では、15(平成27)年の寄付額は5億9300万円余りだったと伝えている。しかし、全国の自治体による〝返礼品競争〟を機に、網走市への寄付金は急増することになる。
22年度の寄付総額は21億7966万5千円。前年は22億4379万1千円で、2年連続して「20億円」を突破した。
市は、多額の寄付金を何に使っているのだろうか? 主な使い道は市のHPで簡単に知ることができる。
22年度は各種事業に約3億994万円の寄付金を充てた。
内訳は、「子どもたちの活動支援」(約1億4800万円)や「地域医療体制の維持・充実」(約1億1700万円)、「特別支援教育推進」(約1億9百万円)などとなっている。
■増え続ける「目的」
「ふるさと納税」の趣旨は、生まれ育ったふるさとやお世話になった自治体への恩返しだ。納税という形で感謝の気持ちを伝える制度で、納税先(都道府県や市町村など)や寄付金の使い道は自分で決められることが最大の特徴。
網走市の場合、条例で定めた「寄付目的」が、寄付金の使い道となる。ただ、この「寄付目的」は変化を続けている。
条例で定めた当初の寄付目的は①名勝天都山の保全と整備②史跡最寄貝塚などのオホーツク文化の保全と整備③網走川周辺の景観保全と整備─だった。
一方、現在の目的は「子どもたちの活動支援」「特別支援教育の推進」など10項目で、当初設けていた目的内容から大きく変貌している。
市が、寄付目的を大きく変え始めたのは15(平成27)年からだ。
同年7月、寄付目的を「子どもたちの活動支援」「スポーツ環境整備」「特別支援教育推進」の3項目に改め、翌年4月には「6次産業化・農商工連携の推進」を加え、その後も19(平成31)年4月に3項目、22年4月に3項目を追加した。
増え続ける「目的」の内容を読み解くと、水谷洋一市長が〝強く進めたい(進めたかった)政策〟と一致するケースが多いことに気づく。
一例だが、寄付目的「特別支援教育推進」は、日体大附属高等支援学校の開校(2017年)に合わせるかのように創設されている。実際、22年度に「特別支援教育推進」に使われた寄付金約1億905万円のうち、約6700万円は同校の生徒確保対策に配分されている。
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次回は、網走市の「寄付目的」を決めるプロセスなどを紹介する。
2023-10-20
社会
網走市は性的マイノリティ(少数派)に関するアンケート調査を、18歳以上の市民2千人を対象に実施した。パートナーシップ制度(※)の導入については、回答者の7割近くが「賛成」する考えを示し、「反対」の3・9%を大きく上回った。アンケート結果の詳細は、市のHPで公開でされている。
調査は8月1~25日に実施し、主に選択方式で20項目の質問に答えてもらった。513人から回答を得た(回答率25・7%)。
性の多様性については、全体の60・4%が「理解を進めていくべき」とした。「進めていくべき」とした回答者を世代別で見てみると、30代が73・2%で最も多く、次いで20代の69・7%、60歳以上の69・3%などとなっている。
パートナーシップ制度の導入については、「賛成」42・4%、「どちらかといえば賛成」23・6%で、回答者の半数以上が導入に前向きであることがわかった。
同制度については、管内では北見市がすでに導入している。網走市においては数年前から議会などで性的マイノリティについて議論する機会が増えてきたが、市はパートナーシップ制度の導入については積極的な姿勢を示していない。
市はこれまで、性的マイノリティについて理解を求める各種取り組みを進めているが、アンケートでは回答者の6割ほどが「市の取り組みを知らない」とした。また、市の取り組みついて意見・要望を求めたところ、「関心を持っていない人にこそ働きかけないといけない」「極少数の者に対し、そこまで何かをするという事がわからない」などとの声が寄せられた。(大)
※パートナーシップ制度=自治体が独自に導入する制度で、同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と承認し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする制度(市の資料より)
2023-10-19
社会
網走市は、水道料金センターの職員が呼人地区180件分の上下水道使用水量の検針済データを消失したと発表した。データ消失に伴い、11月請求額を算定できない状況となったことから、市民宅に配付してある検針票を基に計算するなどして対応する。今回の事態を受け、水谷洋一市長はコメントを通じて「市民の皆さまにご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げます」と陳謝した。
市の発表によると、同センター職員が10日、呼人地区で今月5日に検針した分の使用水量データ(11月請求に関するデータ)を記録していた端末機と別の端末機を取り違え、ほかの地区のデータを上書きしてしまった。
端末機の取り違えミスの原因については、「雨天の検針業務により濡れてしまった端末機を、予備端末機のそばにおいて乾燥させていたところ、当該(呼人地区データを記録していた)端末機と取り違えてしまった」(発表資料より)としている。
データ消失に伴って11月請求額が算定できなくなったため、対象世帯に配付していた検針票に記されている使用水量を基に計算する。検針票が市民の手元にない場合は、水道メーターに搭載される水量記憶機能に記録されているデータから算定するという。
再発防止策として、市は「同センターでデータを随時保存するなど作業工程を見直し、職員間の情報共有の徹底、取り違えを発生させないよう端末管理方法の改善を図りたい」としている。(大)
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水谷市長のコメントは次の通り。
「このたびは、委託事業者の使用水量のデータ消失により、市民の皆さまにご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げます。市といたしても、再発防止に向けて、指導を徹底してまいります」
2023-10-13
社会
網走市は、ネットを通じて市民の意見を募る「ごみ事情eモニター」を担ってくれる市民を今月31日まで募集している。定員100人。任期中(登録から来年3月末まで)、月1回ほどのアンケートにネットを通じて答えてもらう。すべてのアンケートに有効な回答をした市民には謝礼として、クオカード1000円を提供する。
市のごみ最終処分場は、計画期間を大幅に前倒しして「あと4年」で満杯になると予測されている。市は、最終処分場の延命策の一環として、「─eモニター」制度を創設。また、全戸配布している「あばしりごみ通信」を通じて、ごみ減量化についての理解と協力を求めている。
「─eモニター」についての問い合わせは、市清掃リサイクル係(0152-44-6111)へ。(大)
2023-08-31
社会
連日、暑い日が続いたオホーツク管内。網走市は26日の最高気温が36・7度を記録し、市はコミセン・住民センターにクーリングシェルターを開設し、熱中症の予防に役立ててもらった。図書館などを併設する文化交流施設エコーセンター2000の利用も呼びかけたが、「座るところがなかった」と嘆く市民もいた。(大)
■シェルター
市は10年ほど前、市内8カ所にあるコミセンと住民センターの一室にクーラーを設置し、クーリングシェルターと位置付けた。市民の熱中症予防が目的で、シェルターを開設する基準の一つに、環境省などによる熱中症警戒アラートの発表がある。
環境省などの熱中症警戒アラート基準に
市内のコミセン・住民センター8カ所で
各コミセン・住民センターはアラート発表を踏まえた市の指示により、クーリングシェルターとしている部屋のクーラーを稼働させ、玄関前にのぼりを設置するなどして利用を促している。当然、無料で利用できる。
市は8月4、23、24、26日の4日間、各コミセン・住民センターにクーリングシェルターを開設。1日の延べ平均利用者は25人で、最も多かったのは最高気温が36・7度だった26日の39人だった。
エコーセンターは利用呼びかけも「別扱い」
長椅子などは埋まり、座れる場所がない状態に
■エコセン
最高気温36・7度を記録した8月26日。市は前日の午後5時に熱中症警戒アラートが発表されたことを踏まえ、HPなどで市内コミセン・住民センターの一室をクーリングシェルターとして開放することを、そしてエアコンを稼働させているエコーセンターも利用するよう呼びかけた。
HPを見てエコセンに行った市民は、「高齢の両親を連れていったがロビーに常設されている木製の長椅子は人でいっぱい。図書館もいっぱい。ほかに座れる場所があればありがたかった」と話していた。
取材したいくつかのコミセンは「シェルターを開設した場合、利用者のニーズに可能な範囲で対応する」との考え。一方、エコセンはコミセン・住民センターと異なり、クーリングシェルターとは位置付けられていない。今回のHPでも、「シェルターとしての利用を」とは書いていない。
エコセンをクーリングシェルターと位置付けるのは難しいのだろうか?
2023-08-25
社会
網走市は、除雪車が玄関前などに置いていった〝残雪〟の排雪場所として、現在の公園などを利用することを検討している。今冬から導入したい考えで、実施するにあたっては町内会との連携を視野に入れる。市は、苦情の絶えない〝間口の残雪〟や除雪車のオペレーター不足といった課題解消にもつながることに期待している。(大)
■アンケート
公園などを地域住民の雪捨て場とする際、利用する上での基本ルールは不可欠だ。市は「誰でも雪を捨ててOKとはいかない」(市建設港湾部)とし、町内会との連携を視野に入れている。
市は昨年12月、市内にある約120町内会を対象にアンケート調査を実施。この中で、公園などを雪捨て場とした際の協力体制について尋ねたところ、1割ほどが「協力できる」と回答した。
市建設港湾部は「町内会と一緒になった取り組みにしたい」とする。個人的に雪を捨てるスタイルにせず、町内会単位での排雪システムを構築、導入することも想定している。
また、協力してくれる町内会に対しては、雪解け後のごみやビリ砂利の飛散などを防ぐための「ブルーシートの貸し出しなどといった支援策も検討している」(同部)。
除雪車オペレーター50人割込み目前
■恒例の苦情
毎冬、市には除雪に関する市民からの苦情が数多く寄せられる。「除雪車が自宅前の間口に雪を置いていった」というクレームは絶えず、温暖化の影響で湿った雪が降る機会が増えた近年は〝間口残雪〟にイライラする市民は増えているようだ。
間口の残雪は硬くて重いケースがほとんどで、高齢者らにとって処理は大変だ。こうした問題は市議会でも度々、取り上げられるが、除雪車のオペレーター不足も加えて特効薬は見い出せない状況が続いている。
■50人割れ
市の除雪は、民間に100%委託している。100%委託後に浮上した大きな課題がオペレーター不足だ。
市によると、2015(平成27)年の除雪車オペレーターは57人いた。しかし、21(令和3)年は52人で、このうちの7割ほどが50代以上という状況。今後、オペレーターが急増する見込みは低く、同部は「オペレーターが今以上に不足すれば現状の除雪体制を維持するのは厳しくなる」と危機感を強める。
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公園などを雪捨て場とする試みは、排雪処理に苦労していた市民にとっては朗報だ。
網走市は今、人口減少に伴った諸問題が目に見える形で浮上している。除・排雪問題はその一例で、かつて「人口減少のインパクトの緩和」との公約を掲げた水谷洋一市長の舵取りに期待が寄せられている。
2023-08-24
社会
網走市は、除雪車が玄関前などに置いていった〝残雪〟の排雪場所として、既存の公園などを利用することを検討している。高齢化、除雪車のオペレーター不足などが背景にあり、今冬からの導入を視野に入れる。進む人口減少は、まちの除・排雪体制にも影響を及ぼし始めている。(大)
■リストアップ
市によると、地域の雪捨て場として想定しているのは「公園」「公園建設予定地」「長年にわたり使われていない市有地」「市の考えに賛同してくれる市民所有の私有地」。除雪シーズンになれば、「間口残雪の排雪場所としたい考え」(市建設港湾部)。
市は雪捨て場として想定する公園と公園建設予定地について、現時点で60カ所ほどをリストアップしている。今後は、雪捨て場として利用する際の問題点、利用ルールなどの検討に着手するという。
市は今冬からの導入を視野に入れているが、「今年度はモデル地区を選定して課題点などを整理した上で、全市的にスタートすることも考えている」(同部)
■問題点
市が想定する、公園などを雪捨て場とした際の主な問題点は次の通りだ。
①遊具を壊す
②春の雪解け水が周囲に流れ出す
③雪に交じったごみやビリ砂利が散乱する
過去に市の公園を無断で雪捨て場された事例は多々ある。伴って、市が想定した問題点①②③がたびたび発生しているという。
市がリストアップした60カ所ほどの公園と公園予定地は、問題①②③などの対策を練る考え。
市は公園などを雪捨て場とする構想について、7月25日から始まった「まちづくり住民懇談会」(8月30日まで9カ所で開催)で説明。本紙が取材した会場では、出席した市民から「ごみが交じった雪を置いていかれると汚くなるのでは」との意見が出されていた。
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市が新たな試みを進めたい背景には、高齢社会の到来に伴って自身の力だけでは「除雪・排雪」が厳しい市民が増えていることがある。また、除雪車のオペレーター不足も深刻化しており、現在の除雪体制を維持するのはギリギリの状況になっていることがある。
次回は、公園などを雪捨て場とした場合の利用方法、除雪車オペレーターの人数などを紹介する。
2023-08-04
社会
網走市の中心部にある商店街を通る市道に植えられた街路樹34本が根本から伐採されたことを受け、街路樹の必要性などを調べてみた。北見市は街路樹再整備計画の中で、伐採・剪定する際の根拠などを示している。網走市に同様の計画は存在しないものの、今後は街路樹の配置などに関する方針をまとめることを検討するという。(大)
■市民パワーの限界
住民の要望を受けて伐採されたのは、商店街のある南4条西4丁目〜東2丁目の市道「南4条通線」に植えられていたプラタナスやヤマモミジ、イタヤカエデなど34本。市は伐採した理由の一つに「落ち葉に対する苦情」を挙げる。
プラタナスなどの葉は大きく、落葉シーズンになると付近住民が清掃する機会が急増する。商店街エリアも高齢化が顕著で、お年寄りにとって落ち葉清掃の負担は大きい。
網走市の高齢化率は今後も上昇することは間違いない。こうした状況を踏まえると、市民パワーによる落ち葉清掃は限界に近づいているのかもしれない。
歩車分離や大気浄化など効果多く
北見市は計画に基づき伐採、剪定
■研究所の見解
道立総合研究機構(道総研)はネット上で「街路樹は必要ですか?」と題する資料を公開している。
道総研は街路樹の効用として「中央分離帯や歩道と車道などの交通を分離し、安全を図る」「都市景観を向上させる」「季節の美しさを増す」「自動車などの騒音を軽減」「緑陰を提供し、気温や路面温度の上昇を防ぐ」「温暖化を防止する」などを挙げる。
網走市は今年6月「ゼロカーボンシティ宣言」した。目的には温室効果ガスの削減などが含まれているが、商店街の街路樹34本は根本から伐採している。
■根拠
北見市の街路樹再整備計画は2016(平成28)年3月に策定。街路樹の「役割」「機能」などを明文化し、伐採・剪定する際の根拠についてはある程度、明確化している。
また「街路樹種配置計画」(昭和55年策定、平成9年に最新見直し)では、街路樹の不選定リストに6種の樹木を盛り込んでいる。不選定リストにはプラタナスなどが含まれる。
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「ゼロカーボンシティ宣言」した網走市。本来は〝宣言をしたと同時〟に関連施策を市民に示し、理解と協力を求めることが必要だ。人口減少に歯止めがかからない網走市において、街路樹の必要性についての本格議論が求められている。