北見市が東相内中で平和講演会

2023-08-01 掲載

(北見市/教育)

広島から被爆体験伝承者の横田正俊さん迎え

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 戦争の恐ろしさ、平和の尊さを伝える北見市主催の平和講演会がこのほど、北見東相内中学校で開かれた。広島県から被爆体験伝承者の横田正俊さんを迎え、生徒達は平和について考えた。

 横田さんは、終戦年の1945年10月生まれ。70歳の誕生日を迎えた時に「やり残したことがあるのでは」と、被爆体験伝承者として活動するようになった。

 この日、横田さんが伝えたのは、広島県宮島出身で、中学生の時に広島市内で被爆した井口健さんの体験。井口さんはその日、学徒動員として缶詰工場で働くため、朝から広島市内を訪れていたという。

 「飛行機の音で空を見上げたとたん、ピカッと光った。目がくらみ、思わず目の前の集会所に飛び込んだが、ドカンというものすごい地響きとともに集会所が崩れ落ちた」。集まっていた生徒150人は下敷きになり、真っ暗闇の中で気絶。工場から上がった火の熱風で、井口さんは意識を取り戻したという。

 近くでは、朝早くから建物疎開の作業をしていた人達がいたが「上半身裸で作業していた人は背中の皮がむけて腰までぶら下がり、原爆の熱線を直接顔面で受けた人はまともに見られない無残な顔になっていた」。

 何とか駅にたどりついた時に、黒い雨が降った。呆然としていると大八車が通りがかり、救護所でガラス片の刺さった顔などの応急処置を受けたそう。

 再び駅を探している時、吐き気がして黒い水を吐いた。「今なんとか生きていられるのは、あの時黒いものをたくさん吐いたからだと井口さんは言っています」。

 無事に宮島の自宅に帰り着いた井口さん。救護所になっていた自宅前の寺からは人々の悲鳴が聞こえた。それまで軍国少年だったが、夢や心の中で「戦争反対」と叫んだそう。

 横田さんは「日本はこの78年間、国民の努力により一度も戦争をしていない。私はこの平和がずっと続くことを望んでいますし、広島が最初の被爆地で、長崎が最後の被爆地であることを強く望んでいます」と呼びかけた。

 平和講演会は、北見東陵中学校でも行われた。

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