■DMOって?
同協会は2021年3月、観光庁の「観光地域づくり法人(DMO)」に登録された。網走駅内に事務所をかまえ、専門的な観光ノウハウを持つ人材と市職員が業務にあたっている。
人口減少を踏まえ、国は成長戦略の柱の一に「インバウンド(訪日外国人旅行者)の誘致」を掲げる。自治体ごとにDMOの取り組みを進めることで、国全体できめ細やかな誘客策を展開でき、地域経済の活性化にもつながることに期待を寄せる。DMOに認定した組織には補助金を用意し、関連事業の推進を支援している。
同協会はDMO認定後、大手旅行代理店や航空会社からの社員派遣を実現。女満別空港を起点にした飛行機から流氷を見る企画などを支援してもらった。
これまで、網走観光振興の旗振り役の中心は、網走市役所だった。しかし、同協会が観光庁のDMOに登録されたことで、市役所は〝最前線〟から一歩引いたようなスタンスにシフトチェンジした。
市は「網走市観光協会には民間事業所の意見を取りまとめてもらい商業ベース、民間ベースで網走観光をプロモーションしてもらいたい」と期待を寄せる。
市の今年度予算に関連事業費盛り込み
海外でのプロモーションも予定
■アジアをターゲット
市は今年度予算に「地域DMO推進支援事業」として2875万円を盛り込んだ。予算の活用法について、市の資料には「魅力的な観光地づくりを戦略的に行うため、地域DMOによるコンテンツ整備やプロモーション活動、組織体制の強化に加えマーケティングの取り組みを支援します」と記されている。
同支援事業の中には、海外プロモーションの関連費用が含まれる。市観光課によると、同協会の職員1人が今夏、香港やタイなどを訪れ、網走の魅力を発信する。
香港では大規模イベント「ブックフェア」に網走ブースを出展し、網走などを舞台にした漫画「ゴールデンカムイ」などを通じて網走への誘客につなげたい考え。
このほか、旅行代理店や航空会社などを訪問し、網走観光をPRしてくるという。
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コロナの分類移行後、網走観光は復調の兆しが見られる。22(令和4)年度の市内宿泊者数は37万6千人で、前年度より9万人ほど増えた。しかし、〝全盛期〟にはほど遠い。
次回は、DMOに登録された網走市観光協会が示す〝目標値〟などを紹介する。