美幌町の前田武夫さん(82)の宝物は、設計図から土台製作まで、すべて自身で手掛けたステレオ真空管アンプ。
一番最初に製作したのは武夫さんが35歳の時。(写真最下段)その後、定年退職後の2003年に3台を作った。
特に思い入れがあるのは、写真最上段のアンプで、ロシアの軍用機の通信機器に使用されていたものと同型の真空管を使用。武夫さんは「1991年にソ連が崩壊してから、ロシア製の真空管が日本に流通し始めたんです。東京の秋葉原まで行って購入しました」と話す。
写真2段目と3段目のアンプは、音響機器用として古くから使われ、オーディオアンプ用として人気の真空管2A3(アメリカ製)を使用し製作。
「土台は鉄板を溶接して作りました。すべてのパーツがうまく入るよう微調整に苦労しました。自分の思い通りの音が出せるようになることが一番大事。それに向かって作っている時が何より楽しかったです」と語る眼差しには、当時の情熱があふれていた。 (知)