柳橋さんは数年前、町内で猫の殺処分ゼロを目指す「NPO法人ニャン友ねっとわーく」の代表による講演会を主管団体の一員として企画した。講演を通じ、野良猫を地域の環境衛生問題ととらえる意識が広がったように思えたという。
柳橋さん自身も「増え続ける野良猫をどうにかしたい」と個人でTNR活動を始め、同じ思いを抱く仲間とともに昨春、同グループを発足させた。
猫は年2~4回発情期が訪れる。交尾の刺激により排卵するためほぼ100%妊娠し、1度の出産で4~8匹の子猫を産む。環境省によると計算上、1匹のメス猫は3年後には2千匹以上に増えるという試算もあるほど繁殖力が高い。野良猫が増えると、ふん尿被害や繁殖期の不快な鳴き声など、住民生活に支障が出る場合もある。
ニャンコ隊は現在9人で活動。飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施すことで繁殖を抑え、自然淘汰(とうた)される中で野良猫の全体数を減らしていく活動を地道に続けている。捕獲後に子猫を出産してしまうケースもあり、そうした場合は子猫の里親探しも行っている。
昨年はメス猫を優先的に捕獲。56匹のうち、11匹は里親が見つかり、45匹を地域に戻した。中心部における野良猫の数は「確実に減っている」と手応えを語る柳橋さん。捕獲した猫は写真付きでリスト化することで、地域に戻した後も個体把握ができるようになり、新たな野良猫の発見にも気が付きやすくなったという。
町中心部での減少に手応え
周囲の理解・支援に感謝
町内の各行事で活動をPRしてきたことで、町民らからペット用品が寄贈されることも増えた。町も保護猫活動団体支援として不妊手術などの費用補助を開始し「活動を継続させるためにも、とてもありがたい」と感謝する。
今後は牛舎などで繁殖する野良猫に対するTNR活動の推進が課題で「丁寧に理解を求めながら活動の輪を広げていきたい」と話している。 (理)