北見市仁頃町の北見田園空間情報センター「にっころ」に隣接する蒸留小屋で16日、今季最後の和種ハッカの蒸留作業が行われた。ハッカの香りが立ち込め、作業場が活気づく様子はかつて世界シェア7割を占めた〝北見薄荷〟の歴史がよみがえってくるよう。
小屋には直径1・5㍍、高さ2㍍ほどの田中式蒸留釜が復元されており、1度に300㌔分のハッカを蒸留することができる。毎年9月下旬から10月中旬にかけて市内の団体や企業が共同利用しており、この日は北見ハッカ記念館の指定管理者である北見市観光協会が作業した。
蒸留はハッカに高温の蒸気を通すと香り成分と蒸気が混じり合い、それを冷却水で冷やすことで水と油が分離され、比重の違いによって油が抽出できる仕組み。
作業が始まると、職員らが大釜の中に入り、足で踏み付けながらハッカを釜いっぱいに詰め込んだ。ふたを閉め、加熱し始めると隙間から漏れ出す蒸気とともに、きりりとした特有の香りが広がった。
作業した同記念館の浅井かずみ館長は「北見薄荷の歴史を築いた先人達の苦労を感じることができました。文化の伝承に役立てていきたい」と話していた。 (理)

