親が子どものために、友達や愛する人のために、ときには自分が自分のために制作した、世界にたった1冊の絵本を展示する北見手づくり絵本美術館が開館40周年を迎えた。記念の北見手づくり絵本展を開催しているほか、設立準備から携わった松岡義和氏(86)による記念講演が行われた。
絵本の魅力を伝えようと活動していた、北見手づくり絵本の会の活動拠点として1984年、多くのボランティアにより北見市常盤町3丁目に建築された。
松岡氏は開館までの苦労が「これが一番分かりやすい」と自作の紙芝居を用意。「愛とロマンの物語」と題し、電柱や鉄道官舎の古材を利用して当時の全財産100万円の資金で建築を計画。「変な人と呼ばれても、夢とロマンを語ることで役場職員や農業青年、教え子が動いてくれ、ボランティア総勢83人に達した。無謀ともいえる計画を大工さんが引き受けてくれるなど奇跡の連続で完成した」と当時を振り返った。
話は、氏の関わる野外教育学校や名寄市での活動まで広がり「絵本はおとなが子どもに与えるだけでなく、独立した一つのジャンルでいいのではないか」と持論を展開。「今も若い人達が美術館の運営に関わってくれている。誰にでも絵本はできる。ロマンは引き継がれていると信じている」と熱く語った。(寒)