連載 議員視察から見る網走の魅力㊦

2024-05-24 掲載

(網走市/社会)

他自治体の目を引く
〝オリジナル新事業〟少なく

 全国各地の議員による行政視察。網走市はHP上で過去10年間の受け入れ実績を公開しており、視察内容で多いのはスポーツ合宿など前市長時代に始めた施策だ。一方、現在の水谷洋一市長時代に着手した事業の視察は少ない。近年の網走市役所は独自の新規事業が乏しく、行政視察の受け入れにも反映されているとも考えられる。(大)

現在は交付金がらみの事業目立ち
求められる〝見習いたくなる独自路線〟

■ベスト3

 市は、2014(平成26)年度から23(令和5)年度までの行政視察受け入れ実績を公開。この10年間で202団体が来網し、市外の議員たちは市内施設の見学や関連事業の説明に耳を傾けた。

 10年間で最も多かった視察内容は、網走スポトレなどでの「スポーツ合宿」関連の51件。次いで、地域住民がボランティアで学校教育を支援する「学校支援地域本部」事業の19件、市民パワーで天都山の花園を管理する「アドプト・プログラム事業」12件などとなっている。

 「スポーツ合宿」「学校支援地域本部事業」「アドプト・プログラム事業」が〝ベスト3〟となっており、いずれも前市長時代に始まった事業だ。

■3期の実績

 水谷市長は2010年の市長選で初当選し、現在4期目。市長就任後、さまざまな新規事業に着手してきたが、その大半は国の交付金がらみの事業ばかりだ。独自の新規事業としては網走マラソンがある。

 過去10年、網走で受け入れた行政視察の中で、水谷市長時代に始まった事業の視察は「デジタルファースト宣言」(2021年9月)と「DX推進計画」(22年2月策定)の6件、「給食無償化」1件、「空き家対策・人口減少対策」1件などとなっている。

 行政視察の実績だけでの単純な分析だが、前市長時代と比べると、水谷市長時代のオリジナル新規事業はかなり少ないことがうかがえる。こうした状況が、行政視察にも反映された形だ。

 オリジナルの新規事業がなかなか誕生しない背景について、市の幹部職員は「市長からの指示がないから。市長から『独自の新規事業を考えろ』と言われることは皆無」と明かす。

 ……………………

施策創造で市の課題解決を

 議員による行政視察の目的は、まちの課題解決のヒントを探ることだ。網走市には他市町村の参考にもなるような独自施策を進め続けることが求められ、その試みが「人口減少社会への挑戦」となるはずだ。

キーワード

  • 行政視察

関連記事

検索フォーム

キーワード

地域

表示順

 

カレンダー