■不思議な答弁
伐採されたのは、同体育館に隣接する市民プールや市営球場、運動公園周辺の白樺など116本。市によると、樹齢40年が経過し、高さ20㍍に達する樹木もあった。伐採関連の費用161万4千円は、今年度当初予算に盛り込まれている。
市の答弁「標準伐期齢」は森林が対象
今回の伐採理由の一つとして、同市教委社会教育部の吉村学部長は「樹齢40年以上が経過し、立木の『標準伐期齢』を過ぎている」と、石垣氏の一般質問(6月26日)に答弁した。
標準伐期齢とは、樹木の伐採時期の目安として市町村などが定めている。網走市は森林整備計画の中に盛り込んでいるが、〝森林の整備〟を目的とした計画であるため、「今回の白樺を含めた街路樹の伐期齢には単純に当てはまらない」(市役所関係者)。
つまり、市は〝街路樹〟を大量伐採する上での明確な根拠を持ち合わせてないのが現状だ。
北見市は、街路樹再整備計画を2016(平成28)年3月に策定し、街路樹の「役割」「機能」などを明文化した上で、伐採・剪定する際の根拠についてはある程度明確化している。また、「街路樹種配置計画」(昭和55年策定、平成9年に最新見直し)では、街路樹の不選定リストに6種の樹木を盛り込んでいる。不選定リストにはプラタナスなどが含まれる。
未来のまちのデザイン
水谷市長の〝号令〟待ち
■残す、残さない
市は現在、市道街路樹のあり方について検討しているという。
今年3月の同市議会予算等審査特別委員会で、担当課長は「街路樹を残す路線、残さない路線の検証をしている。検証の結果に基づき、街路樹を撤去するか、今後の判断材料にしたい」と説明している。
本紙は先日、市都市管理課に取材したところ、「撤去する路線、撤去しない路線の検証結果は年度内にまとめたい」との考えを示したが、多数の市民の意見を反映するかは不透明だ。
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市道街路樹の「撤去・撤去しない路線」について、市は何を根拠に検証しているのだろうか?
網走市は、北見市のような計画を持っておらず、〝街路樹〟の標準伐期齢も定めていない。こうした状況の中で、市道街路樹を「撤去する・しない」の根拠をどのように示すのか疑問だ。
財政難、人手不足(人口減少)を背景に街路樹の管理は難しい時代を迎えている。市は早急に北見市のような計画を策定すべきで、そのためには網走市政トップの水谷洋一市長から市職員に向けた〝腰のすえた号令〟が不可欠だ。