連載 議会傍聴のススメ~網走市~ ㊦

2024-07-26 掲載

(北見市/社会)

「通告ない」なぜ怒る

 網走市議会の定例会を傍聴した複数の市民は、質問する市議をヤジる副市長らの姿を記憶にとどめている。また、YouTube動画を閲覧していた市民は「一般質問中、質問者ではない市議が嘲笑する場面をよく見る。なぜ、他の市議の質問を笑うのか不思議」と首をかしげる。(大)

副市長の指摘に議長は「問題なし」
失礼な光景

■副市長のヤジ

 以前に定例議会一般質問を傍聴した市民は「副市長が質問中の議員に対してヤジる姿が印象に残っています」とする。

 市民の印象に残る副市長のヤジは、質問をしていた市議が「事前通告していない」との〝思い込み〟に端を発したようだ。ただ、このヤジるシーンを間近で見ていた議長は、副市長の指摘を受け入れずに「問題なし」と判断し、質問を続行させた。

 副市長がいら立った「事前通告」とは何なのか?

 網走市議会は役所側との取り決めで、定例議会・一般質問(代表質問含む)の内容を事前に役所側へ通告するようになっている。

 通告の内容(ボリューム)は各市議によって様々。中堅市議(保守系)は「質問の主題項目だけを通告している。細部の質問は議場ですればいいと考えている」とする。

 役所側にすれば、事前に質問内容の詳細がわかれば、答弁書の作成は容易になる。ただ、市議と役所側が事前に一言一句すり合わせるようになると、議場での議論が〝馴れ合い〟になってしまうというデメリットもある。

 ベテラン市議(革新系)は「事前に通告した主題項目にリンクする質問であれば、副市長から『通告にない』とヤジられる筋合いはない」との考え。

■基本ルール

 傍聴することで、質問者へのヤジなどYouTube動画では見られないシーンに遭遇することができる。傍聴する際の基本ルールは、網走市議会の傍聴規則に記されている。次の通りだ。

 傍聴する際はまず、指定の入り口に置いてある受付票に住所、氏名、年齢を記入する。酒気帯びのほかビラ、プラカード、笛、ラッパ、太鼓などを携行していると傍聴席に入れない。

 傍聴席に着いたら、帽子や外とう、襟巻の着用はダメ。また、「議場における言論に対して、拍手その他の方法により公然と可否を表明しないこと」となっている。

■嘲笑

 網走市議会のYouTubeチャンネルで一般質問の様子を閲覧した際、画面上には質問者が映し出される。その質問者の背後には、質問に耳を傾ける市議たちの姿がある。

 市議会をYouTubeで閲覧している市民は先日、本紙に「〝背後〟の議員はなぜ、質問している最中に笑うのですか。とても不快」と語気を強めていた。

 同議会のルールで「一般質問する市議に対して笑ってはいけない」という規則はない。ただ、「市民を代表して質問する市議を嘲笑するのは、市民を馬鹿にしていること。一般常識としてやってはいけないことだと思う」(中堅市議)。

 ……………………

 「市民に見られている」との意識が低下すると、議場でのヤジ、質問者に対する嘲笑などが目立つのかもしれない。

 議会の傍聴者、市政に高い関心を示す市民を増やすためにも、「議員と市長、そして市職員は互いに経緯を払った議論を展開するべき」(市議OB)であろう。

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  • 議会傍聴

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