連載 姿消す赤レンガ塀~網走刑務所~ ㊤

2024-09-05 掲載

(網走市/社会)

解体工事に驚く住民たち

 観光名所ともなっている、網走刑務所の「赤レンガ塀」の解体が進められている。老朽化に伴う工事で、新しいコンクリート塀が設置される。「大正」時代に完成した赤レンガ塀。近年は漫画やテレビアニメなどの影響で、若い世代の注目度も高まっている。赤レンガ塀は姿を消してしまうのだろうか?─。調べてみた。(大)

設置から90年以上、倒壊の危険も…

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■びっくり

 「網走刑務所の赤レンガ塀が解体されています。理由が知りたい」

 8月22日の朝、本紙記者のスマホが鳴り、電話口の女性市民は少々興奮していた。

 女性は自家用車での通勤中、運転席の窓から見る風景に驚いた。「重機によって赤レンガ塀が壊されていた。とてもびっくり。なぜ解体するのか、理由が知りたい」。残念がる女性の気持ちに応えるためにも、取材を進めることにした。

 記者はまず、女性市民から電話が入った8月22日の午前10時過ぎ、〝現場確認〟のため網走刑務所に向かった。

 到着すると、工事車両が赤レンガ塀の解体作業を進めていた。その〝無残〟な姿に気持ちが沈んだ。

■SNSの反響

 記者は解体される様子を動画に収め、本紙の公式X(旧Twitter)とインスタグラムに8月22日と同23日の計2回投稿してみた。ユーザーの反響は大きかった。

 本紙の公式Xへの8月22日投稿に対して、9月2日時点での反応は「いいね」354、閲覧数2万4千。また、投稿への返信(リプ)は10件以上あり、「なんで?」「単にレンガ積んでるので耐久性が乏しいのが理由なんでしょうね」「めっちゃ残念。あの塀込みで『網走刑務所』なのに」などとの声が寄せられた。

 こうしたリプの中に、「金カムファンの皆さんにとっては『聖地』の一つだったのでしょうに…」とのコメントがあった。

 「金カム」とは、漫画「ゴールデンカムイ」のことだ。明治末期の北海道・樺太を舞台として、作中では時折、網走監獄を絡めたシーンが描かれる。熱心な読者ファンにとって、赤レンガ塀で囲まれた網走刑務所は〝聖地〟となっているようだ。

 ─・─・─・─・─

 次回は、赤レンガ塀の歴史、解体後に設置される新しい塀などについて紹介する。

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