置戸町の木工芸品「オケクラフト」の名付け親である秋岡芳夫さん(1920~97年)の人柄や仕事ぶりを振り返る講演会がこのほど町内の図書館とどま工房で開かれた。
町内で秋岡さんを知る人が少なくなる中、あらためてその人柄に触れる機会にと「みんなの秋岡芳夫さん」と題し、オケクラフトセンター森林工芸館の「どま塾」と図書館20周年記念事業を兼ねて開かれた。
講師は元目黒区美術館学芸員で、キュレーターとして活動する降旗千賀子さん。2011年の「DOMA秋岡芳夫
―モノへの視線と関係のデザイン」展を同美術館で開き、翌年の同展の置戸開催にも深く関わった。
秋岡さんは戦前、数多くの童画を手掛けた。木工家としてのイメージから「色と秋岡さんがつながらない方も多いと思いますが、実はカラーリスト。色の人なんです」と紹介した。
また、1947年に秋岡さんが描いた童画「太郎のロケット実験室」と「どま工房」の写真を比較して「絵を描いた47年後に秋岡さんは自分のイメージを現実化させていた」と語り「童画の仕事も工業デザインも暮らしへの提案も木工家としての仕事も全部つながっていると感じた」と話した。
降旗さんは「置戸には秋岡さんの宝物が多く存在する。活用するにはすごく時間がかかりますが、置戸に輝きをもたらすものになれば」とまとめた。(理)