連載 自動走行バス実現するか?㊦

2025-02-14 掲載

(網走市/本紙連載)

来年度以降にモデルカー
まずは運転手付きから

 網走市は、3カ年にわたる自動運転バスの実証実験に取り組む方針だ。バスやタクシー運転手不足に対応する試みで、来年度以降は実際にモデルカーを走行させる。先日は市民を対象にした勉強会を開催し、出席者からは様々な感想が寄せられた。 (大)

実用化にコストが大きな課題
勉強会では不安の声も

■レベル

 自動運転バスの普及は、政府の提唱により進められる。国交省の「手引き」によると、自動運転はレベル1~5までに区分される。網走市はまず、「レベル2」で自動運転バスを走らせて実証実験する。

 レベル2は、自動運転バスの運転席にドライバーが座り、必要に応じて手動で介入する。

 東京都大田区などで実用化された自動運転バスは、ドライバーが不要の「レベル4」。網走市はレベル2での実証実験を経て、レベル4の実用化についても検討する。ただ、実用化した場合のコストは大きく、運行事業者との負担割合など多くの課題が残されている。

■テストカー

 網走市の実証実験では、2つの試験走行ルートを設定。道路幅が狭くなる冬期間などにおいて、「路上駐車していた場合、うまく回避できるかなど、多角的に課題を調べたい」(市の担当者)。

 市は来年度以降、実験走行に着手する。導入するテスト用の車両には、レーザーによって歩行者や障害物、車両の距離を計測する機能などが備えられている。

 例えば、前方約100㍍先までセンサー認知し、近くに障害物を認識した場合、自動で減速または停止する。また、同乗するドライバーは、バスの右左折時や路上回避時などの際、必要に応じて手動走行に切り替えて減速・停止する仕組みだ。

■不安

 市は先日、自動運転バスについての勉強会を開催。関係業種のほか一般市民ら約20人が参加し、担当者の説明に耳を傾けた。

 参加者からは、ドライバー不足を念頭に自動運転バスに期待を寄せる意見が出された一方、「自動運転で走行するバスは想像ができず、不安もある」との声も寄せられた。

 市民の移動手段である公共交通。しかし、網走市においてはバス・タクシーのドライバー不足は深刻で、2020(令和2)年調査では、市内のバス運転手の年齢層は「45~59歳」が7割強を占めており、タクシー運転手も同様の傾向にある。

 人口減少に歯止めがかからない網走市。ドライバー不足を含め、関係者は公共交通をどのように維持するのか知恵を絞っている。

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  • 自動走行バス

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