美幌博物館は、ヤツメウナギの新種「ウチワスナヤツメ」と「ミナミスナヤツメ」のタイプ標本(基準標本)を博物館内に展示している。2種のうち、ウチワスナヤツメは美幌博物館の町田善康学芸員が札幌市内の石狩川で採取した。展示は4月6日までの期間限定。タイプ標本が美幌博物館に展示されるのは初めてという。
ヤツメウナギは、目の近くの側面に7つの鰓孔(えらあな)が並んでいることから、目と合わせて「八つ目」と呼ばれる。
一部の種は海に下るが、ほとんどは川に生息する。体が細長いためウナギと混同されがちだが、全く別の生物。口にあごがなく、5億年前から姿を変えていないとされ〝生きた化石〟とも呼ばれている。
ミナミスナヤツメは従来のヤツメに比べ、鰓孔の近くに「感丘(神経のかたまり)」があること、ウチワスナヤツメは体を動かすための「筋節」が65以下で、上部と下部の歯が丸い特徴などから、新種として認められた。
今回、展示されているのは「パラタイプ」と呼ばれる標本。新種の基準になる「ホロタイプ」とともに調査され、ホロタイプが何らかの理由で失われた場合は、その役割を担うことになっている。
標本に加え、ヤツメウナギについてや、識別方法を解説するパネルも展示。町田学芸員は「タイプ標本が展示されるのは珍しい。見に来ていただけたら」と話している。 (浩)