
美幌博物館はこのほど、網走川流域のサケ科の産卵場所やオオワシ、オジロワシの生息場所を地図で示すスマートフォン向けアプリを札幌市内のNPO法人と共同で開発した。協力者からの情報を地図に示していくことで、魚道設置など改善が必要な場所や、保全度の高い場所を明らかにし、本来の生息環境回復を目指す狙いだ。
アプリは、NPO法人EnVision環境保全事務所(札幌)と共同で開発。サケやアメマス、サクラマスなどサケ科の魚の産卵床や、オジロワシ、オオワシを含めた目撃情報、写真などの情報をアプリの地図に追加する仕組み。データは年単位、月単位などで閲覧できる。
協力者は、現時点で博物館ボランティア、野鳥の会メンバー、東京農業大学の学生らを想定。情報が蓄積されることで、生物が生息するための保全が必要な場所などを洗い出す狙い。
環境省は、2023年度以降、民間の取り組みなどで生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」として認定。博物館などは、今回の取り組みで網走川流域の認定を目指す。
密漁などの恐れがあるため、データは原則として非公開。博物館の町田善康学芸員は「データが蓄積されれば流域の中で改善や保護すべき場所が明らかになるので、皆さんとこれらの生物を守る機運を高めたい」と話している。 (浩)
