北見市が市内の中学校を対象に開催している平和講演会が17日、相内中学校で開かれた。広島市の被爆体験伝承者、森河伸子さん(69)が、被爆の実相や平和の大切さを伝えた。また、昨年行われた「広島平和の旅」に参加した、北見北斗高校1年の宮下優月さんが、広島を訪れて感じたことや学んだことを報告した。
戦争を知らない若い世代へ、原爆の恐怖と悲惨さ、平和の尊さを伝えることを目的に、1995年から市内中学校で開いている。ほかにも市は中学生を対象に、毎年8月6日に行われる「広島平和記念式典」への参列や、原爆ドームなどを見学する「広島平和の旅」も実施しており、参加者報告会も兼ねて開催した。
伝承者の森河さんは、「1945年8月6日、人類史上初めての原子爆弾が広島に落とされました」と語り始めた。広島と長崎に原爆が落とされた理由や、全壊した広島市の写真などを交え、原子爆弾の被害を説明した。また、当時14歳だった母親の河野キヨ美さん(94)の被爆体験や、実際に見た、円を描くように並べられた中学生の遺体の絵(写真右)などを紹介し、当時の悲惨さを伝えた。
「No More Hiroshima」世界に伝えたい
宮下さんは「『No More Hiroshima』。私はこの言葉を世界中の人々に伝えたい」と語った。さらに、資料館で原爆が落とされた時刻の8時15分で止まった時計を見た時には「毎日訪れている8時15分とは、比べ物にならない恐怖を感じた」と話した。さらに、全身火傷の人や腕の無い人などの写真は「見ていられなかった」と、目をそらしたくなるような思いだったことを明かし「この経験を多くの人に伝えたい」と思いを語った。
同中学校3年生の原みひろさんは「事実だけじゃなく、被爆者の気持ちにも触れたうえ、同年代の人の話もあって、自分だったらどう感じるだろうと考えながら講話を聞いた。戦争がより身近に感じられた」と感想を述べた。
同校の玄関前には、「絵で読む広島の原爆」などの絵本や、原爆の被害状況を写したポスターなどが掲示された。
講演会は16日、北見南中学校でも開かれた。 (知)
