
心と体に涙がもたらす効果
セロトニン研究の世界的権威で、脳生理学者・医師の有田秀穂さん(東邦大学名誉教授)は「涙を流すことで、緊張やストレスに関わる交感神経から、リラックス状態をつかさどる副交感神経へと脳が切り替わる」と説明しています。たくさん涙を流すほど、ストレスが解消され、心の混乱や怒りなども和らぐそうです。ただし、基礎分泌の涙や、玉ねぎを切ったときに出るような角膜保護の涙は意味がなく、悲しいときや感動したときに流す「情動の涙」に効果があるとのことです。さらに、涙を流すとストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑えられるという報告もあります。(表=感涙療法士・吉田さん配布の「涙活レジュメ」より抜粋)
自分の「泣きのツボ」見つけて
「涙の授業」プログラムを行っている感涙療法士の吉田英史さんによると、泣けるポイントは人それぞれで、その人の成育歴や現在おかれている環境によって異なるといいます。そのため、自分自身の「泣きのツボ」を見つけることが大切だとしています。
明日笑うために
「『明日笑うために今日泣こう』。人は思いっきり泣いたあと、笑顔になれます。涙活は、涙の活動とうたっておきながら、実は笑顔になることを目指す活動なのです」吉田さんは、涙活レジュメでそうつづっています。
「涙活」は、企業や自治体、教育、医療、福祉などの機関でも開催されており、みんなで涙を流すことによって、スッキリするだけでなく、共感力も高まります。記者も何度か参加しましたが、初対面の人たちと一緒に涙を流したあとは、不思議と話しやすくなり、一体感も生まれていると感じました。
家族愛、動物愛、スポーツ系、子どもの成長系、ラブストーリーなど、自分の泣けるツボはどれなのか、いろいろと試してみるのもいいかもしれません。インターネットで「涙活 泣ける話」などで検索すると、「2分で泣ける感動のショートフィルム」や、「涙活におすすめの泣ける映画80選」など、数多く紹介されます。
まずは家で泣ける本や動画で涙を流し、次は気の合う仲間同士、集まって一緒に泣ける映画を見るのもいいかもしれません。明日笑うために、今日泣いてみては。 (知)
