
北見の新谷まゆみさん(73)が、父のシベリア抑留の体験をまとめた著書「シベリアの雪」を、このほど北見市立中央図書館に寄贈した。新谷さんは「シベリア抑留について知らない人もいるかもしれない。資料のひとつになれば」と話している。
約30年前、父親との会話の中で、シベリアに抑留されていたことを初めて知ったという新谷さん。「戦争に行っていたことは知っていましたが、まさか父がこのような経験をしているとは思いませんでした」と振り返る。父から聞いたシベリアでの過酷な経験を後世に伝えていきたいと、図書館などで調べたことを加えてまとめ、「文芸北見」30号(1999年)に投稿した。
今回寄贈した「シベリアの雪」は「身内などに持っていてもらえたら」と、投稿作にさらに訂正、加筆し、3年前に自費出版。このほか満州引き揚げを体験した妹のお姑さんに聞いた話を、「母性愛」をテーマに小説の形で孫の視点から描いた「語り継ぐ言葉」、エッセイ風の「リョウと散歩 そして思うこと」を、それぞれ過去に「文芸北見」に投稿、掲載されたものに訂正、加筆して収録した。
表紙は「内容が暗いので」と友人が描いた鮮やかなモミジの植物画を選んだという。
非売品で30冊のみ発行だったが、今年に入って1冊を同図書館に寄贈した。
同本は、同図書館で借りることができる。 (菊)