
日頃斉藤さんを指導し、大会にも帯同した施設管理者の太田伸一さんは「練習通りに作品を完成させることができた。素晴らしい」と〝日本一の頑張り〟をたたえている。
全国アビリンピックは、日頃職場で培った技能を競い合うことで障がいのある人々に対して社会が理解を深め、雇用の促進を図ることを目的に開催。ビルクリーニング、喫茶サービスといった現業種目からワード・プロセッサ、データベースなどのIT関連まで幅広く25種目に分かれて、地方予選を勝ち上がった選手が出場する。
斉藤さんは一昨年の全道大会で金賞を受賞し、全国大会は銀賞。今回も全道大会は金賞で全国は2回目の出場。
ふた付き木箱を時間内に組み立て
「良い出来だと思った」国際大会推薦の可能性も
制作課題は、ふた付き木箱。材料を図面に沿って、正確に美しく、5時間の制限時間以内に完成させる。組み立てには伝統的な木組み技法の「蟻(あり)組み接ぎ」が要求される。のみ、かんななどの工具をいかに巧みに使かうかで評価が分かれる。
斉藤さんは4時間45分で仕上げ「予定通り5時間以内で完成させた」。他の人の作品を見ても「自分の方がきちんと仕上げていて、良い出来だと思った」。
審査の結果、努力賞1人、銅賞2人、銀賞3人が発表され、残り1人の金賞で斉藤さんの名前が呼ばれたときは「安心した」そう。太田さんは「斉藤さんの性格です。人一倍責任感が強いのでホッとしたのでしょう」と栄あるその場面を語る。
「本当は、最初緊張で手が震えていた」と明かす斉藤さん。事業所に帰ってきて金賞を報告し、みんなに喜んでもらえてようやく実感が沸いてきたようだ。
国際大会の推薦発表は年が明けてから。斉藤さんは「自信がないので」と、いつものペースで事業所の作業に励んでいる。 (寒)