事業所が雇用し、地域に求められる活動を行う委託型の地域おこし協力隊として八木一馬さん(29)と菊地莉奈さん(27)が着任。㈲瀬口農産(川南)の従業員として馬の生産やホースセラピーの事業化に向け、昨年は牧柵の設置や馬が運動する馬場の整備などに取り組んできた。
八木さんは網走出身。大学在学中から卒業後7年間にわたり苫小牧市内の自然学校のスタッフとして携わり、馬による森林整備(馬搬)や子どもの自然体験などを行ってきた。
菊地さんは静岡県出身。東京農大でホースセラピーなど学び、馬術にも親しんだ。大学卒業後、十勝で酪農の仕事に従事したが、牛でなく馬を通じて人とかかわる仕事がしたいと協力隊に応募した。
現在、道産子やばん馬など7頭を飼育している。いずれも厳しい自然環境にも適応する丈夫な体を持ち、性格が温厚な品種だそうで、柵の中で過ごす馬たちはとても静かな様子だ。
八木さんらは、発達に特性のある子ども向けにホースセラピーを行う計画で、馬の口にかませる馬具のハミや鞭(むち)になるべく頼らず、馬と気持ちを通わせ、声やボディーランゲージによる合図で次の動作を導けるよう訓練している。八木さんは「毎日行動をともにすることで馬と気持ちが通じ合っていきます」。子ども達はブラッシングやふれ合いなど、馬との信頼関係を築いていく中で発達に必要とされるさまざまな感覚を養ったり、命の大切さに触れることができるという。
昨年は「馬に会いに来た」という町民も多く、2人は「馬たちが人とつないでくれ、地域に受け入れてもらえたような気がしています」。今年は、間もなくばん馬の「ななつぼし」(愛称・なな)が出産を控えており、仔馬が駆け回る姿も見られそう。
今年は一般の乗馬体験も本格的に受け入れていくそうで、地域に開かれた「馬(場)づくり」を進め、将来的には福祉や教育、観光、農林業など、幅広い分野への馬の活用を目指していく。同社の瀬口俊行社長は「いい人材に出会うことができた。馬との暮らしを体現してほしい」と2人の活躍に期待している。 (理)

