■ショッキング
網商の提案書によると、今年4月に道教委の公立高校配置計画地域別協議会で示された10年後データでは、現在の南高「4間口」、桂陽高「4間口」の維持は困難になるとされた。
かつて、網走市内には私立の網走高校、道立の南ケ丘高校と向陽高校があった。しかし、2008(平成20)年に少子化などを背景に、網走高校は向陽高校に統合される形で道立桂陽高校が誕生した経緯がある。
こうした〝歴史〟も踏まえ、網商は「地域の発展には若い世代のエネルギーと新しい視点が必要不可欠」(提案書より)とし、現在の南高と桂陽高校を存続させるための提案書を水谷市長に提出した。
提案書には「(道教委のデータでは)10年後の2034年には市内高校は現在の8間口から4間口で足りる計算となり、現在の南高4間口、桂陽高4間口の維持は困難になるという、私共にとりましては大変ショッキングなものでした」と、強い危機感が表現されている。
今回、網商が水谷市長に対して最も望んだことは「高校の存続に対し、早期に、また、全市を巻き込んで検討いただくこと」(提案書より)だ。
■中卒者数
道教委がHPで公開する、2025~2027年度の「公立高校配置計画案」資料には、網走市の中卒者数の推計が記されている。
2024(令和6)年の中卒者数は256人。27年までは260人前後で推移するものの、30年には176人に減少する。市内関係者によると、10年後の34年は「140人台を割込むというデータもある」。
市内中卒者の減少は、南高と桂陽高の入学者の減少へとつながる。
道教委の同計画案資料によると、24年度の募集枠に対しての欠員は、南高(普通科)が「1人」、桂陽高校においては「51人」となっている。
同計画案では、「欠員が40人以上生じている学校について、定員を含む学科編成の在り方について検討が必要」とされている。
欠員51人の桂陽高校は「検討が必要」なカテゴリーに入っていることになる。
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過去の事例を踏まえると、道教委が「間口減」を決定してから、「間口維持」のアクションを起こしても、その決定を覆すことは困難だ。
次回は、市内中卒者の市内進学率や市内高校卒業者の市内就職率などを紹介する。