連載 増える外国人 網走のまちづくりは? ㊦

2024-09-27 掲載

(網走市/社会)

市営住宅の〝目的外使用〟

 網走市は、一定の条件を満たした外国人を対象に市営住宅への入居を可能とする試みを始めた。現在、大曲地区と台町地区の市営住宅で計40人の外国人が生活する。市は、入居する外国人には町内会活動などを通じて住民と交流を深めてもらった上での生活トラブルの未然防止にも力を入れている。(大)

大曲と台町、20戸で募集開始
インドネシア、ベトナム、中国人の40人が入居

■人材確保

 市は今年4月、〝目的外使用〟を可能とした市営住宅の入居募集を開始。最大の目的は「市内事業者の人材確保に向けた支援」(市のHPより)だ。

 背景には、水産加工業者を中心とした地元企業や議会から「市内で増加する外国人技能実習生などの従業員住宅として、市営住宅を活用できないか」との声が寄せられていたことがある。

 市は、国土交通省の方針に基づき、市営住宅に外国人の入居を可能とする計画を策定し、承認を得た。

 現在、〝目的外使用〟が可能な市営住宅は大曲地区の16戸、台町地区の4戸。両地区の市営住宅を選定した理由は、「世帯向け住宅の空き住戸が多い状況だった」(市の担当者)ため。

町内会活動への積極参加を義務付け

■厳守事項

 〝目的外使用〟の住宅契約者は、入居する外国人ではなく市内事業者が担う。技能実習生などを入居させる条件は、「従業員向け住宅等の確保が困難である」(市のHPより)などだ。

 入居者の条件は、①市内事業者で雇用する在留登録のある外国人就労者②市内事業者で雇用する市外からの新規採用者─となっている。

 〝目的外使用〟の大曲地区の市営住宅では、15戸で36人の外国人(インドネシア人19人、ベトナム人14人、中国人3人)が生活を送る。台町地区は2戸に4人の中国人が入居する(※9月13日時点)。

 市は、市営住宅で暮らす外国人と地域住民との交流を促すため、住宅契約者の厳守事項として「町内会・自治会へ加入し、町内会活動には入居者を含め積極的に参加してもらう」ことなどを盛り込んでいる。

 ただ、大曲地区は町内会の運営・存続が厳しいエリアもある。市には、こうした現状も踏まえた上での「外国人との共存」を視野に入れたまちづくりが求められている。

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