■新事業
水谷市長は、新庁舎のいくつかの建設候補地の中から、地元商店街アプト・フォー(南4条通り商店街)に隣接する場所を選んだ。理由の一つに「商店街の活性化」を挙げた。
新庁舎は今年2月25日に供用開始。市職員約350人が商店街そばにある庁舎に通うため、「通勤時間帯は、商店街を通る人は間違いなく増えたと感じる」(市職員)。
市は今年度当初予算に、新規事業「アプト・フォー活性化研究事業」を盛り込んだ(予算額60万円)。この事業の目的は、「桂陽高校生や関係団体とワークショップなどを通じて、『フリースペース』等の設置について研究・検討する」(市の資料より)としている。
■請願
地元高校生と一緒に商店街の活性化について考える試みは、網走桂陽高校の生徒が網走市議会に提出した請願がきっかけだった。
昨年12月、網走桂陽高校の生徒グループは、網走市議会・文教民生委員会に、商店街アプト・フォーにある空き店舗をフリースペースとして設置することを求める請願を提出。同委員会での審査を経て、採択された。
網走市議会において、地元高校生による請願は珍しく、新聞やテレビなどで報じられた。
市は地元高校生による請願を踏まえ、新規事業を通じて地元商店街の活性化策を探る狙いだ。桂陽高校のほか、網走南ケ丘高校にも声をかけており、幅広い若い世代のアイデアに耳を傾け、実現可能な活性化策を探る考え。
新規事業では今後、まちづくりなどを専門とするコンサルタントからのアドバイスなどを踏まえ、地元高校生と商店街の関係者らが意見交換などをする。
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地元高校生のアイデアが即座に商店街の活性化につながるかは不透明だ。しかし、地元の高校生がまちづくりに参加する経験は、郷土愛の醸成にもつながるはずだ。
今回の新規事業の予算規模は小さいが、地元商店街の関係者がどれだけ積極的に関わるかが〝カギ〟となりそうだ。