■今年2月に提言
現庁舎跡地に国の出先機関の合同庁舎を誘致する考えは、「網走市 都市機能誘導構想検討協議会」の提言書に盛り込まれている。
同協議会は、大学の客員教授や市内農協・漁協、商店街などの関係者らのほか一般公募の18人からなる。昨年5月に1回目の会合を開き、今年2月に提言書をまとめた。
提言書では、施設の更新(建て替え)時期が近づいている市内にある国の出先機関について、「網走市の人口の推移を踏まえ、将来にわたって市内に官公庁の出先機関が立地し続けることが望ましい」とした上で、「施設(出先機関の合同庁舎)の設置には一定の敷地規模が必要なことから、市庁舎移転(現庁舎)跡地が適当」とした。
■どうなる?
市内にある国の出先機関は、網走開建や網走税務署、網走海保、網走地方気象台、網走公共職業安定所などがある。これらの建物は築40年以上が経過し、老朽化は進んでいる。
市は、市民や有識者の考えをまとめた同協議会の提言を〝後ろ盾〟に、合同庁舎の誘致を本格化させた。
ただ、誘致に向けた最大の交渉先は財務省で、「交渉はそう簡単にはいかないと思っている」(市の担当者)。
代議士秘書を務めた経験のある水谷洋一網走市長の〝政治力〟にも期待がかかる。しかし、先日の衆院選で政権を担っている政党は議席を大幅に減らしており、今後は不透明な政治情勢の中での誘致活動となることが予想される。
もし、市内にある国や道の出先機関が、施設の建て替えに伴って市外へ移転したらどうなるのか。市の幹部職員は「数千人単位の人口が流出することになる」と強い危機感を示していた。
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現庁舎跡地の利活用について、市は国の出先機関の合同庁舎の誘致以外にプランを持ち合わせていない(11月6日時点)。もし、合同庁舎を誘致できなかったら?―。水谷市長の舵取りに期待がかかる。