北見市の2023年度3月末の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口の割合)は34・8%。40年度には44・4%になると推計されている。その一方、介護職員不足が深刻な状況で、既に介護サービスの調整が困難となってきており、将来的に〝介護難民〟が出ることが予想されている。
こうした状況を受け、市と同センターは今年度から介護予防に効果があるとされる高齢者向け運動プログラム「いきいき百歳体操」(※)を活動の軸とした通いの場の普及を進め、健康増進や住民同士が支え合える地域づくりを目指している。
先行スタートした南部と西部・相内の2地区では、高齢者クラブの活動場所などに出向いて説明会や体験会を実施。介護予防の必要性や将来の介護サービス不足などを理解してもらうことで住民自身が通いの場の必要性を感じ、納得して活動が始められるようアプローチしている。
発足の際には体操の健康効果が実感できるよう初回と3カ月後に体力測定を実施したり、4回目までは体操指導を行うなど、継続的な活動につながるようサポートしている。
南部と西部・相内地区で今年度から先行スタート
西部地区ではネッツトヨタ北見㈱を会場とした通いの場が登場。活動拠点を探していた際、同社が地域貢献の一環で協力したそうで、ショールームの一角にお年寄り十数人が集まり、椅子に腰かけながらゆったりと腕や足を動かして体操している。参加する80代の男性は「持病があるし、1人だとやっぱり続けられない。みんなが集まるから自分も来て頑張ろうと思える」と、集うことにパワーをもらっている様子だった。
南部地区でも花園デイサービスセンターが、利用者の受け入れ後の時間に施設を開放しており、企業や事業所が地域の健康づくりを後押ししている。
いきいき百歳体操を軸に活動
体力測定や体操指導など継続をサポート
通いの場は1月24日までに南部地区で7カ所、西部・相内地区で9カ所と、じわじわ数を増やしており、参加者からは「歩いて通える場所が増えた」「ゆっくりした動きだけどすごく効いてる」などと好評だ。担当者は「通いの場の立ち上げをサポートし、つながりが感じられるいきいきと暮らせるまちづくりを進めたい」と話し、新たな参加希望者や会場を今後も募っていく。 (理)
※「いきいき百歳体操」は高知市発祥の介護予防運動。手首や足首に重りを付け、椅子に座って手足を動かし、筋力とバランス能力の向上を目指す体操。