美幌町樹液研究会が、今季もイタヤカエデの樹液採取を始めた。ふるさと納税の返礼品などとして親しまれるメープルシロップの原料。研究会の活動をけん引し、24年2月に86歳で急逝した平野茂夫さんの遺志を継ぎ、妻の祥子さん(83)らが作業に精を出している。
シロップづくりの転機は、茂夫さんが1989(平成元)年、農地造成で撤去されそうになったカエデを自宅前に植えたこと。いつしか「カナダに負けないシロップをつくりたい」と研究を重ねるようになり、2011(平成23)年に商品化にこぎつけた。
25年は3月上旬にイタヤカエデの樹液採取を開始。カエデの幹に差したチューブから、樹液が少しずつボトルにたまっている。
下旬からはカラコギカエデの樹液採取も始める予定。25年は茂夫さんが10年ほど前に植えたカエデからも初めて樹液を採り、2つのカエデ合わせて24年より1千㍑多い5千㍑ほどの採取を目標にしている。
自宅前のイタヤカエデに採取用のボトルを設置した祥子さんは「シロップづくりが続けられるのは研究会の皆さんのお陰」と感謝。研究会の中橋政俊さん(73)は「今年は寒さで開始が少し遅れましたが、今年も甘いシロップを届けたい」と話している。
研究会は5月上旬のシロップ発売を目指している。 (浩)