道が指定する「春のヒグマ注意特別期間」が始まったばかりの3日、美唄市の男性がヒグマに襲われ、大けがを負う被害に遭った。ヒグマによる人身被害は道内で今年度初。道は周辺地域に「ヒグマ注意報」を発出し、注意を呼び掛けている。
ヒグマの活動が始まる4、5月の2カ月間を道は「春のヒグマ注意特別期間」に指定し、山菜採りなどで山野に入る際には基本的ルールを守った上で、十分気をつけて行動を―と注意喚起している。
ヒグマによる人身被害は特に春と秋に多い(表①)。冬眠明けのヒグマは餌を求め、より活発に活動するため、人間と遭遇する確率が高まる。
道が調べた平成元年(1989年)から今年1月までのヒグマによる道内の人身被害状況(捕獲従事者を除く)によると、月別の被害は10月(死傷者計14人)に次いで4月(12人)、5月(10人)、6月(9人)と春の季節の発生が続いている。
また被害に遭った人の行動で最も多かったのは「山菜・キノコ採り」で被害者合計33人(死亡14人、負傷19人)。全体の49%を占め、次ぐ山林作業13%、農作業9%、釣り5%に比べ圧倒的に多い(表②)。
春(4~5月)に発生した近年の人身事故では2020年5月15日に後志管内古平町、21年4月10日に釧路管内厚岸町でいずれも山菜採りの人が死亡、23年5月14日には上川管内幌加内町で釣り人が被害に遭っている。
道は出没状況により、ヒグマ注意報やヒグマ警報を発出する。
環境生活部ヒグマ対策室は「被害に遭わないための基本的ルール」として
・事前にヒグマの出没情報を確認する
・単独行動を避け、複数で行動する
・鈴など音の出るものを鳴らす
・クマの足跡やフンを見つけたら、すぐに引き返す
といったことを守って行動を―と呼び掛けている。 (寒)

