常呂での取材の帰途、畑の間を真っ直ぐ伸びる農道の遥か向こう、少し緑に色づいてきた畑に点々と白い塊。残雪の白かと思ったら、ゆっくりと動いている。
やや近づくと車の窓越しに、オオハクチョウの群れだったことが分かった。その数、優に100羽を超す大群。見てる間にさらに5羽10羽と降下し、緑の中の白さが増してゆく。
近くの農家の人にたずねると「毎年この時期にやってくる。秋まき小麦の根を食べてるようだけれど、そんなに被害というほどでもない」と優しく見守る。
群れには、まだ一人前の白ではない、褐色が残る幼鳥が多く見られる。ひと冬を日本で過ごし、ひと回り成長。北へのつらい長旅がこのあと待ち構える。
クオーコオーと車窓越しの鳴き声が「窓は、夜露に濡れて〜♪」と小林旭の名曲に聞こえてくる。でも「北へ帰る旅人ひとり♪」ではなく大勢なので心強い。大丈夫そうだ。 (寒)