
統廃合計画の対象の中でも、住民センターに統合できない単独館といわれる北見自治区8施設などのあり方が特に議論になっている。
会館が廃止されると、行き場を失う高齢者が出現し、引きこもりによる認知症やフレイルの増加が懸念され、その結果、医療費や扶助費の増加が危惧されるという。「会館は趣味だけでなく、集まって、おしゃべりするだけでも大切な場」であり、用事があって出向く施設とは異なる〝母屋的存在〟だと利用者達は口を揃える。
同計画の発表を受け、市保健福祉部は5、6月に北見自治区にある高齢者クラブを訪れ、内容を説明。併せて要望を聞き、辻直孝市長に届けた。8月4日には北見市老人クラブ連合会が市役所を訪れ、「活動拠点である高齢者福祉会館の統廃合はクラブ解散に連動する」などと危惧を伝え、計画の撤回を求める要望書を提出している。
これらを踏まえ辻市長ら幹部が再度検討。8月下旬から同部が、廃止の対象となっている会館の8クラブを個別に再訪問。現時点での方針、方向性について「計画に変わりなく従来からの運営を見直さざるを得ない」「来年4月からは玄関や窓にベニヤ板を張ることになる」などとクラブ役員らに伝えている。
いずれのクラブからも反発の声が出るとともに、話し合いの後半は「どういう形ならば建物を残せるか」という議論に移行しつつある。なかには「これまで優遇されていた。受益者負担の原則を思うと、市とともに考えないといけない時代に入ってきたのかもしれない」という考えを述べるクラブ役員もいる。
ただ、これまであった市からの委託料が削減されてでもクラブが独自に会館を管理・運営して行けるのかどうか「会員と話し合うにはあまりにも時間が足りない」とクラブ役員。
さらに、クラブだけではなく町内会や地域サロンが利用する会館もあり、他のクラブと統合したり、住民センターに行くには遠過ぎるなど個別に問題を抱えており「それらを整理し、理解を共有するには時間が掛かる」という声が圧倒的だ。
同部は今回挙がった意見を持ち帰り、市長らに伝え、再度クラブに返答する考え。 (寒)
