羽を広げると10㌢を超えるような大きな蛾が北見市内に夜な夜な現れ、市民を驚かせている。街灯に集団で群がったり、店舗のショーウインドーに大量に貼り付いたり、羽紋の目玉のようなビジュアルを含め気持ち悪いと毛嫌いする人が多い。成虫に対する明確な対策はなく、少しの間我慢が必要のようだ。
店舗内に入って来ないよう工夫したり、朝には大量に散らばった死骸を片付けたり市民は対応に追われている。
北見市教育委員会文化財・博物係に聞くと、「クスサン」というヤママユガ科の蛾で、近年は道内でも大量発生が報告されているそう。
同係の安斉千晶学芸員も発生動向を注目していたそう。同じく大型のマイマイガが有名だが、北見ではクスサンの大量発生は比較的最近で8月下旬から9月上旬に確認されることが多く「まだ研究段階」だという。
樹木の楠(くすのき)と養蚕(ようさん)から楠蚕(くすさん)と名づけられた。イチョウが食害に遭い葉が食べ尽くされることがあるほか、クリやウダイカンバなど様々な植物を食草にするらしい。
安斉さんによると、「毒を持たない蛾だけれど、正面から見た顔は一見して怖く群れる様子から〝不快害虫〟とされる。でも見る人によっては、かわいいということもある」そう。
成虫の寿命は1週間ほど。安斉学芸員は「今回の大量発生は雨上がりの9月3日夜がピークだったのでは」とみており、もう少しの辛抱のようだ。 (寒)
