
同プロジェクトは「認知症になっても暮らしやすいまちをみんなでつくっていこう」という思いを共有しながら、オレンジ色の花を咲かせる取り組み。2020年に新潟県長岡市から始まり、全国各地に広がっている。
■高齢者相談支援センター南部
センター南部では小学校や専門学校、グループホームなど19カ所にオレンジ色の花を植えたり、プランターを設置する。オレンジガーデニングに使用するマリーゴールドの種は、昨年、認知症の男性から「センターの農園に植えて」と贈られた花苗から採取し、大切に保管していたものだという。
北光幼稚園の旧園舎で開かれているオレンジカフェでは、園児とお年寄りが花壇に穴を掘り、マリーゴールドの種を植えた。こうした活動に賛同し、地域の家具工房や鉄工所がガーデンに立てる看板制作に協力するなど、プロジェクトを通じて地域が一つになっている。
■高齢者相談支援センター中央
中央地区では、高齢者クラブ「西部クラブ」がプロジェクトに賛同。かねてから交流のある認定こども園めぐみの園児も誘い、山下町高齢者福祉会館の花壇にマリーゴールドなど200株を一緒に植えた。園児達は散歩でもよく訪れる場所とあり「大きくなるのが楽しみだね」と話していた。苗を植えた後には歌をプレゼントし合うなど、プロジェクトを通じてますます交流が活発になりそう。
■高齢者相談支援センター北部
北部地区では昨年、留辺蘂でオレンジガーデニングに取り組んでいたことを知った住民自らが「今年はうちの地域でも広めたい」とセンターとともに各所に協力を呼び掛けた。医療機関や地域サロン、福祉事業所などが賛同し、約50の個人と団体が参加している。
地域ボランティアの伊藤宏さん(81)=写真中央=は取り組みを知り、花壇やプランターの大きさに合わせて設置できる看板を手作りし、センターに寄贈した。得意の日曜大工の腕を生かし、端材を利用したそうで、看板中央に貼ったポスターが映えるよう若草色と茶色のペンキで仕上げた。仲間からの評判も上々で「こんなもので喜んでもらえるなら、うれしい」と照れながら話した。
このほか、ボランティアが草取り作業をしてくれたり、園芸店が花の苗千株を寄贈してくれたりと、認知症の啓発だけでなく、地域の支え合いが広がっている。 (理)

