
北見市指定文化財「緋牛内の大カシワ」の治療報告会が、10月30日に市端野町緋牛内の現地で開かれた。端野町歴史民俗資料館協議会の会員や市職員ら8人が参加し、約30年にわたり治療を続けている樹木医の鈴木順策さんから説明を受けた。
「大カシワ」は、旧端野町時代の1987(昭和62)年に、後世に残したい「保存樹木」に指定された。翌88(昭和63)年には、環境庁による巨木林調査で、幹周は株立ちが1本のものでは全国一となっている。
その後96(平成8)年に旧端野町の指定文化財に指定され、合併後は北見市の指定文化財となった。指定当時の樹高は約17㍍、幹周は約5㍍、樹齢は約350年以上となっている。
鈴木さんは、旧端野町から委託を受け、97(平成9)年からおよそ10年ごとに「大カシワ」の治療を行ってきた。直近では2019(令和元)年に大規模な治療を実施した。その後も毎年経過観察を続ける中、雨水による腐食部分を発見。鈴木さんの申し出により、地域貢献活動として、10月7日から11月30日まで、腐った部分を取り除き、防腐剤を注入するなどの治療を行っている(写真下)。
「大カシワ」を管理する市端野町歴史民俗資料館館長の堺和恵さんはあいさつで、「開拓時には山の神として祀られ、端野町の豊かな自然と歴史を伝えるもの。道内外から見学者が訪れている。次の世代へとつなぐため、保全活動を進めていきたい」と述べ、鈴木さんへの感謝を伝えた。
鈴木さんは「歴史あるこのカシワの木を失ってはいけない。地域が一体となって守っていく必要がある。そのためにも、自分の後を引き継いでくれる人が現れることを切に願う」と思いを語った。 (知)

