■2年連続
「ふるさと納税」は、国が08(平成20)年に制度化し、網走市も同年から寄付金を募り始めたが、当初は近年のように集まらなかった。
5年前の本紙記事では、15(平成27)年の寄付額は5億9300万円余りだったと伝えている。しかし、全国の自治体による〝返礼品競争〟を機に、網走市への寄付金は急増することになる。
22年度の寄付総額は21億7966万5千円。前年は22億4379万1千円で、2年連続して「20億円」を突破した。
市は、多額の寄付金を何に使っているのだろうか? 主な使い道は市のHPで簡単に知ることができる。
22年度は各種事業に約3億994万円の寄付金を充てた。
内訳は、「子どもたちの活動支援」(約1億4800万円)や「地域医療体制の維持・充実」(約1億1700万円)、「特別支援教育推進」(約1億9百万円)などとなっている。
■増え続ける「目的」
「ふるさと納税」の趣旨は、生まれ育ったふるさとやお世話になった自治体への恩返しだ。納税という形で感謝の気持ちを伝える制度で、納税先(都道府県や市町村など)や寄付金の使い道は自分で決められることが最大の特徴。
網走市の場合、条例で定めた「寄付目的」が、寄付金の使い道となる。ただ、この「寄付目的」は変化を続けている。
条例で定めた当初の寄付目的は①名勝天都山の保全と整備②史跡最寄貝塚などのオホーツク文化の保全と整備③網走川周辺の景観保全と整備─だった。
一方、現在の目的は「子どもたちの活動支援」「特別支援教育の推進」など10項目で、当初設けていた目的内容から大きく変貌している。
市が、寄付目的を大きく変え始めたのは15(平成27)年からだ。
同年7月、寄付目的を「子どもたちの活動支援」「スポーツ環境整備」「特別支援教育推進」の3項目に改め、翌年4月には「6次産業化・農商工連携の推進」を加え、その後も19(平成31)年4月に3項目、22年4月に3項目を追加した。
増え続ける「目的」の内容を読み解くと、水谷洋一市長が〝強く進めたい(進めたかった)政策〟と一致するケースが多いことに気づく。
一例だが、寄付目的「特別支援教育推進」は、日体大附属高等支援学校の開校(2017年)に合わせるかのように創設されている。実際、22年度に「特別支援教育推進」に使われた寄付金約1億905万円のうち、約6700万円は同校の生徒確保対策に配分されている。
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次回は、網走市の「寄付目的」を決めるプロセスなどを紹介する。