■市民のお金
市のかさ上げ工事は、大空町に建設される広域(網走市や美幌町など1市4町)ごみを焼却する中間処理施設の供用開始時期が、当初見込みより1年半から2年ほど遅れることが判明したことが背景にある。
ただ、かさ上げ工事が実現できるかは現時点で不透明で、市は「可能性の調査」(市の担当者)を早急に進めたい考えだ。
市はかさ上げ工事について、11月13日の同市議会・文教民生委員会で報告した。
市は将来を見据えた上での〝かさ上げメリット〟を説明したが、金兵智則市議は「5億4千万円(かさ上げ+今年度当初予算に盛り込んだ延命策の関連予算)は、当初の計画通りに進んでいればかからなかった。市民の大事な血税を使うということを、市はきちんと説明しなければならない」と指摘した。
■最悪の事態
市の調査(昨年12月)では、現在のごみ最終処分場は「何もしなければ、あと4年(2027年)」で満杯になる。一方で、地元業者は「あと2年半(2025年)で満杯」(昨秋の時点)と指摘する。
業者の指摘する「2025年」は、大空町に建設される広域ごみ中間処理施設、市の新しい処分場はまだ完成していない。つまり、市民のごみの行き場を失ってしまう可能性が出てくる。
市議らからの「最悪の事態を想定したプランを用意すべき」との指摘に対し、市は「来年10月の調査結果を待つ」との姿勢を崩さない。
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余計な出費、市議会でも厳しく指摘
水谷市長、最悪のシナリオはいまだ示さず
水谷洋一市長は、現在のごみ問題が表面化して以降、最終処分場に足を運んだのは1回だけ。役所内でかさ上げ議論が始まった9月以降も現地を訪れた形跡はない(11月17日時点)。
広域ごみ中間処理施設の供用開始時期のずれ込みに伴い、網走市のごみ問題に対する切迫感は強まっている。水谷市長の舵取りに期待がかかる。