市議会一般質問で明らかに
■何を調べている?
第三者調査委は、弁護士や医師など5人からなる。生徒が亡くなった原因や学校、市教委の対応などについて調べているが、12月13日の定例市議会・一般質問で小田部照議員は、「(第三者委の会合で)遺族が提供を申し出た関連資料を第三者委は受け取らなかったと聞いている。市教委は確認しているか」と質問した。
第三者委の調査スタイルを疑問視する声も
市教委担当者は「内容の詳細を把握していないので、確認させてほしい」と答えた。
本紙の取材でも、第三者委は、遺族から提供された関係資料に目を通したものの受け取らず、コピーもしていない可能性が高いことが判明している。
小田部氏は一般質問で第三者調査委の設置目的についても尋ね、同市教委は「(いじめの有無についての)事実確認と再発防止がメーンの内容」とした。
事実確認を進める上で、多角的な情報は不可欠であるが、第三者委は遺族が提供を申し出た資料を受け取らなかった可能性が高い。
本紙取材では、第三者委の調査スタイルを疑問視する関係者は少なくない。
新聞報道には市教委が公表していない内容も
取材受けた岩永教育長「報道機関の独自取材」
■最大限の配慮
同市教委は当初、今回の第三者委を設置したことを市議会に一切報告せず、調査は予算措置が不透明な状況で進められていた。市議会に報告しなかった理由は「(公表されることを拒む)遺族への最大限の配慮」とした。
市教委は「最大限配慮する」とした一方で、第三者委が設置されていたことを報じた北海道新聞の記事は、「市教委によると」と前置きした上で、生徒が亡くなっていた場所や全校生徒のアンケート調査結果からはいじめに直接結びつく回答はなかった―とされた。
小田部氏は一般質問で、記事には市教委が公表していない内容が含まれていたことから、「詳細情報は岩永教育長が(記者に)答えたのか」と追及した。
岩永雅浩教育長は「(北海道新聞の取材は)11月2日に配布した文書(学校が保護者に第三者委を設置したことを知らせる文書)の事実確認が大半だった」とした上で、全校生徒のアンケート調査結果については「報道による独自取材によるものであると考える」とし、小田部氏の指摘を否定した。
……………………
もし、第三者委が、遺族が提供を申し出た関係資料の受け取りを拒んだことが事実であれば、第三者委は一体何を調べているのだろうか?
重大事態と認定されたいじめ問題に対する同市教委の一貫性・主体性を欠いた姿勢を正すことは、今後のいじめ防止にもつながるはずだ。主体性・一貫性のない同市教委の姿勢を正すのは、水谷洋一市長の役目であろう。
次回は、水谷市長がトップを務める「同市総合教育会議」に対する、水谷市長自身の認識について、議会答弁を中心に紹介する。