三重県などでは効果アリ
■重大事態
網走市教委は昨年3月、市内で初めてとなる第三者委を設置。続いて、同10月にも第三者委を設置した。1年間で4件が重大事態と認定されたのは、「全国的にも極めて異例」(市内の教育関係者)だ。
こうした状況を踏まえ、「市長への手紙」を書いた市民(※手紙は今年2月に受理)、そして、市議の小田部照氏は、全国の自治体に2600以上ある「学校警察連絡協議会」を設置するよう求めている。
全国に広まっている同協議会は、戦後すぐにできた制度。その目的は、学校と警察が連携を密にして児童生徒の健全育成を図ることだ。
管内の教育関係者によると、三重県、滋賀県大津市はいじめの対応に同制度を活用し、効果を上げている。
■教訓
網走市教委が昨年3月に設置した第三者委員会は、3件のいじめ問題について調査を進めている。この3件は、同市教委が記者会見を通じて公表したものの、加害者の人数を誤って発表するなどの不手際が目立ち、当事者とされた生徒らを困惑させた。
また、3件の加害者とされた生徒の保護者たちが問題が起きていることを知ったのは、学校や市教委ではなく警察からの連絡がきっかけだった。
「加害者の人数の誤り」や「警察の連絡により初めて状況を知る」という事態は、関係生徒や保護者らを混乱させ、行政に対する不信感の増幅にもつながった。
小田部氏はこうした教訓を踏まえ、昨年9月の定例市議会・一般質問で警察と学校・市教委が密に連携する組織の設置を求めた。
重大事態4件の教訓どこへ
■消極的
網走市には「市いじめ問題対策連絡協議会」が存在する。水谷市長と同市教委は、こうした既存の関連組織があるため、学校警察連絡協議会を設置する必要はない─との考えを示している。
ただ、市いじめ問題連絡協のメンバー構成は多様で、会議は年1回ほどしか開かれない。昨年は7月7日に開催され、出席した市民は「重大事態に認定されたいじめ問題があるにもかかわらず、会議の中身は『報告会』のようなものだった」と証言する。
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旭川市で起きたいじめ問題は、現在の市長の〝強い思い〟で新たな取り組みが始まっている。一方、1年間で重大事態4件のいじめ問題が起きた網走市において、大胆な対策は講じられていないのが現状だ。
市内関係者は網走の子ども達の未来のために、水谷市長の強いリーダーシップに期待を寄せている。