連載「市長への手紙」回答より (上)

2024-05-30 掲載

(網走市/社会・教育)

いじめ対策、網走市の本気度は?

 現在、網走市内の中学校でのいじめ問題4件について、第三者委員会による調査が進められている。こうした状況の中、市が市民から募っている「市長への手紙」には、「(いじめ問題に対する市の)本気度を示して」との声が寄せられた。この「市長への手紙」に対する市の回答内容を軸に、〝本気度〟などを調べてみた。(大)

効果的な学校警察連絡協議会
現時点では「設置せず」

■異常事態

 網走市教委は昨年3月、市内で初めてとなる第三者委を設置。続いて、同10月にも第三者委を設置した。

 昨年3月設置の第三者委では、市内中学校でのいじめ関連事案3件について調査を進めている。同10月設置の第三者委は、市内で中学生が亡くなった事案について、いじめの有無を含め調べている。

 いずれの案件も、同市教委の附属機関である「同市いじめ問題専門委員会」で重大事態と認定されたことを踏まえ、第三者委が設置された。

 昨年だけで4件のいじめ問題が重大事態と認定されたのは、「全国的にも極めて異例」(市内の教育関係者)だ。

1年で4件の重大事態認定は全国的にも極めて異例
いじめ防止条例化にも前向きな回答なく

■市長への手紙

 網走市において、1年間で4件も重大事態と認定された状況に驚き、嘆く市民は少なくない。実際、令和5年度中に寄せられた「市長への手紙」には、いじめ防止策などについての意見2件が寄せられた。

 先日、市のHPで公表された「市長への手紙」実績によると、いじめに関する手紙は今年2月29日に受理。手紙では、「学校警察連絡協議会の設置」と「いじめ防止の条例化」を求めている。

 「学校警察連絡協議会の設置」を求める声に対して、水谷市長は明確に回答していない。本紙が同市教委に改めて確認したところ、「現時点では、新たな組織を設置する考えはございません」との回答を得た。

 一昨年12月、同市教委は記者会見を開き、市内中学校で起きた3件のいじめ問題を重大事態と認定したことを公表。この会見後の昨年9月の市議会一般質問で小田部照議員は、同市教委と警察の連携強化を求めた経緯がある。

 ……………………

 同市教委が重大事態と認定したいじめ問題4件。市長への手紙にも書かれているが、問題に対する水谷市長の本気度が問われている。

 次回は、学校警察連絡協議会とは何なのか、また全国の事例などを紹介する。

「市長への手紙」の内容と回答(要約)

【学校警察連絡協議会の設置について】

市民の意見「学校と警察が情報共有する連絡協議会が全道的に網羅され、相当の効果があったと聞いている」

水谷市長の回答「同種の協議会として『市生活指導連絡協議会』『市生活指導連絡協議会』『市いじめ問題対策連絡協議会』『市子ども安全確保連絡会議』などがある。児童生徒の健全な育成、地域全体による見守り体制の整備において、警察をはじめ関係機関との適切な連携・協力はこれまでと変わらず必要であるものと考えており、引き続き取り組んでいく」

 ……………………………………………

【いじめ防止の条例化について】

市民の意見「将来ある若者たちを守るため、(市長・市教委の)本気度を示してほしい」

水谷市長の回答「網走市議会からも提言として受けており、他の自治体の事例などの情報収集を行いながら、今後研究する」

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  • いじめ問題

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