NPO法人美幌えくぼ福祉会主催の虐待防止に関する研修会が8日、美幌町しゃきっとプラザで開かれた。2022年に虐待事件があった障がい者支援施設「清流の里」(西興部村)の職員2人が講師になり、事例やグループ討議を通じて対応を学んだ。
清流の里では、2022年に複数の職員が入所する障がい者にけがをさせるなどの身体的虐待、暴言や威圧的な言動をする心理的虐待をしていたことが発覚。虐待をしていた職員は懲戒解雇された。
研修会にはえくぼ福祉会の職員、ボランティアスタッフら約30人が参加。23年に石狩市内の社会福祉法人から生活支援課長として清流の里に出向した中野喜恵さんと、施設支援係長の小林安宏さんが講師を務めた。
小林さんは、虐待が行われていた当時の入所者の様子について「笑顔はなく、肩身の狭い思いをし、訴えの声が届かずに苦しんでいた」と報告。情報の収集やコミュニケーションの強化などの改善に取り組み「(入所者が)困ったこと、やりたいことを言ってくれるようになり、笑顔が見られるようになった」と話した。
この後、中野さんが進行役になり、適切な支援と虐待のグレーゾーンについて考える演習を実施。ある参加者は「相手によって対応を変えてしまうことがある。できて当たり前でなく、できないから私たちがいる、ということを肝に銘じたい」と話した。
中野さんは「対人援助職は感情労働に陥りやすい。チームに相談できる人が必要。1人で仕事はできない。自分のためにもチームで進めてほしい」とまとめた。 (浩)