連載 網走、部活動の地域移行 ㊦

2024-04-05 掲載

(網走市/社会・教育)

先生の〝考え〟

 網走市教委設置の「部活動地域移行検討協議会」が実施したアンケート調査(昨年10月)の結果からは、先生の〝本音〟が垣間見れる。中学校の部活動指導については8割超が「負担」と感じ、「遠征が自腹」「残業代がでない」「手当をつけて」などとの声が寄せられた。一方で、学校の求めに応じて部活動のボランティア指導に市民が名乗り出たものの、断られたという事例もあった。(大)

負担に感じる現状
遠征が自腹、残業代や振替休日なく

■先生の負担

 国は2025年度までの3年間を、休日における学校部活動を地域に移行させる「改革推進期間」と位置付ける。背景には、学校(教職員)の働き方改革がある。

 網走市は国の求めに応じて、昨年10月に同協議会を設置。部活動の地域移行に向けた検討を本格化させた。

 アンケートは市内小学4~6年生と保護者、中学1~2年生と保護者、そして中学教職員96人を対象に実施した(※結果は市のHPで公開)。

 教職員のアンケートでは「部活動の課題」についても尋ね、自由回答欄には様々な意見が寄せられた。一部を紹介する。

・「担当教諭への過大な負担」

・「勤務時間外に従事させられること」

・「肝心の教科指導研究がないがしろになってしまい、部活動の指導が邪魔となっている」

・「教職員はボランティアだと思いながら必死にやっているが、保護者は『仕事なんだからあたり前』と思っている」

・「大会で勝てば勝つほど自分の休みはなくなり、その分の振替の休みがあるわけではない」

名乗り出た市民は断られ…

■外部指導者

 先日の網走市議会・予算委員会で、市内のA中学校が野球部の外部講師を募ったところ男性市民が応じたが、最終的には学校から断られていたことが明らかにされた。この男性市民は野球少年団などで指導歴があったという。

 このケースを疑問視した市議からの質問に対し、同市教委は事実関係を把握していないとした上で「地域の指導者の人材確保は大きな課題。今後、部活動の地域移行を進めるにあたり、指導者の確保と子ども達のよりよい環境の充実を図っていきたい」と答えた。

 ─・─・─・─・─

 部活動の地域移行について、市民の関心は高い。昨年11月に市内で開催された住民説明会には131人が参加した。しかし、網走市においては、現時点でスタートラインに立ったばかりだ。同市教委の計画では、今年度内に地域移行の一部試行に着手し、2025年度以降には推進計画を策定することになっている。

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