連載 防犯灯の〝お値段〟~網走市~㊦

2024-07-19 掲載

(網走市/社会)

柔軟な防犯灯の管理法模索を

 網走市は約2500灯の防犯灯を設置している。現行のルール上、町内会が存在しない地域への設置は容易ではない。人口減少に伴い、町内会の存続も困難な時代に入った。防犯灯の〝設置議論〟は、町内会の存在意義についても問いかけている。市と同市連合町内会は、10年ぶりとなる町内会アンケート調査に着手。今夏には結果がまとまり、「今後の町内会活動の参考にする」(同町連)という。(大)

現ルールでは管理者の町内会解散で原則撤去も
特例で個人・地域団体も新設、維持は可能

■設置条件

 市の防犯灯の管理は基本的に、同町連(地区連)が市から委託される形で請け負っている。

 防犯灯の管理業務を担う町内会が存在しない地域への新設について、網走市議の石垣直樹氏(2期目)は定例会一般質問などで継続して要望している。しかし、石垣氏と市側の設置議論は平行線のままだ。

 現行の管理委託ルール(市と地区連による「市防犯管理業務委託に係る協定」)では、町内会の存在しない地域に防犯灯を設置することは難しい。しかし、町内会がなくても設置されている事例はいくつかある。

 市によると、防犯灯が設置されていた地域の町内会が解散した場合、「町内会での管理が困難になることから『原則撤去』となる」。

 ただ、特例もある。町内会がなくても、「個別に管理を依頼できる際は、存続するケースもある」(市)という。

 つまり、町内会に代わって防犯灯を管理する個人や地域団体などが存在すれば、新設や存続は可能なわけだ。

 「防犯灯の管理は町内会が担う」という慣例にこだわり過ぎると、人口減少社会への挑戦策は限られてしまうのではないだろうか?

10年ぶりに町内会アンケート調査に着手
8月中に各町内会の状況把握へ

■アンケート

 網走市においては人口減少を踏まえ、町内会の運営が困難になり、同町連に加入できなくなってしまうケースが目立ち始めている。地域内の高齢化が進み続けると、防犯灯の管理どころではなくなってしまう。

 市と同町連は先日、市内にある町内会・自治会を対象にしたアンケート調査に着手。同様のアンケートは2014(平成26)年以来で、背景には「町内会の加入世帯の減少など町内会運営に様々な課題が発生していること」(同町連)がある。

 今回のアンケ調査では、新たな質問として「町内会のデジタル化」「広報誌の配付」などを盛り込んだ。今年8月中には調査結果をまとめる予定で、「各町内会の状況を把握し、今後の町内会活動の参考にする」としている。

 ……………………

 網走市において、人口減少に伴った問題・課題は目に見える形になって現れるようになった。10年ほど前、網走市の水谷洋一市長は管内首長に先立って、「人口減少社会への挑戦」とのメッセージを繰り返していた。石垣氏が継続して要望している防犯灯の新設は〝人口減少問題〟のほんの一部だ。水谷市長の舵取りに期待がかかる。

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  • 防犯灯

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