連載 人口減少による防犯灯問題~網走市~ ㊦

2025-06-06 掲載

(網走市/社会)

制度見直しで設置・維持の不満や問題解消へ

 網走市は来年度、市内各所に設置されている防犯灯の管理を町内会に委託せず、すべて〝直轄〟で行うように制度を見直す。現在は町内会にも管理を担ってもらっているが、制度の見直しに伴い、懸案事項として浮上していた、町内会が存在しない地区への設置も可能となりそうだ。 (大)

変化する町内会の役割

■どうして?

 現行の委託制度は、「電球切れチェック」などの管理を担う町内会に委託料が支払われる。町内会の解散などで管理業務が担えなくなった場合、防犯灯は撤去される仕組みだ。

 解散が決まった町内会の会員だった男性Aさんは、解散後も防犯灯は撤去せずに、点灯の継続を望んだ。しかし、市連合町内会や市との話し合いでは、「撤去することが前提で、こちらの要望はなかなか受け入れてもらえなかった」と話す。

 今回の委託制度の見直しで、すべての防犯灯の管理が〝市の直轄〟になれば、Aさんのような不満は解消されるはずだ。

■ゼロエリア

 網走市内において、近年に造成された新興住宅街の中で町内会が存在しない〝ゼロエリア〟がいくつかある。存在しない理由はさまざまで、こうしたゼロエリアは今後も増えることが予想される。

 現行ルールだと、町内会の存在しない地域への防犯灯の新設は難しい。こうした状況について、網走市議会では防犯灯の新設条件などについて幾度か議論されてきた経緯がある。

 石垣直樹市議(2期)は、「町内会の存在しない地域に防犯灯は設置できない」とする市の見解について、定例市議会や所管委員会などで再三にわたり質問を続けてきた。昨年6月の定例会一般質問でも問題点を指摘したが、市側との議論は平行線のままだった。

 今回の制度見直しについて、市の担当者は「2026年度からの実施に向け、町内会が存在しない地域に防犯灯を新設する際の条件などを検討してきたい」としており、来年度以降は〝ゼロエリア〟への設置が実現する可能性が高くなっている。

 …………………

 これまでの町内会の役割の一つに「行政の補佐」「行政と住民をつなぐパイプ役」があった。しかし、人口減少に歯止めのかからない網走市において、従来の役割は変化し、その一例が防犯灯の管理問題だ。

 水谷洋一市長の今後の舵取りに期待がかかる。

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