置戸町常盤の田中牧場で3日、羊の毛刈り作業が行われた。本格的な暑さが訪れる前に、羊達がさっぱりとした姿に衣替えした。
同牧場は、肉用のテクセル種の羊を牧草のみを与えて育てるグラスフェッドで、約150頭飼育。毎年ゴールデンウイーク前後に毛刈りを行っている。
この日は15人ほどが作業に参加。羊の後ろ脚を押さえ、体を寝かせて毛刈りをスタート。足をうまく使いながら羊の体を押さえ、腹部から順に専用のバリカンで毛を刈った。熟練者の手にかかると作業は1頭5分ほど。刈られた毛が1枚のコートのように体からはがされていった。
1頭から取れる羊毛は2~4㌔ほど。毛刈り作業の横では毛に付いた藁ゴミなどを取り除くスカーティングと呼ばれる作業が行われた。品質ごとに仕分けられた羊毛は、紡績糸の原料として出荷されるほか、羊毛手芸を楽しむ町内の愛好者の手にも渡るという。
この日は冷たい雨が降る天気とあり、代表の田中瑞穂さん(47)は「毛刈りを終えた羊は少し寒々しく見えますが、健康のために必要な作業。食肉として命を頂くだけでなく、生産物の一つとして羊毛の活用も進めていけたら」と話した。 (理)