■網走〝初〟
A中学校のいじめ案件は3件。網走市教委が記者会見(23年3月31日)で発表した。
23年3月21日、同市教委はこの3件を重大事態と認定し、同日に第三者委(市いじめ問題調査委員会)を設置。いじめの有無を含めた調査を依頼した。
網走市において、いじめ問題の第三者委が設置されたのは初めてのことだった。設置後、網走市議会では同市教委が記者会見を通じて公表した理由などが追及され、関係保護者からは加害者とした生徒数の根拠を示すよう求められるなど、教育行政の一部が混乱した経緯がある。
調査結果は市教委に答申、議会に報告も関係生徒らには知らされず
■答申
A中学校のいじめ問題を調べていた第三者委は昨年12月、結果をまとめて同市教委に答申。同市教委は、同市議会に答申されたことを報告した。
しかし、本紙取材では、A中学校の関係生徒・保護者の大半には、調査結果がまとまったことが知らされていない。一方、被害者とされた生徒・保護者には、結果を確認してもらっている。
文科省はガイドラインで、「調査結果を公表するか否かは、事案の内容や重大性、被害生徒・保護者の意向、公表した場合の児童生徒への影響等を総合的に勘案して適切に判断すること」としつつ、「特段の支障がなければ公表することが望ましい」とする。
市教委「被害者側の確認作業 公表範囲の配慮が必要」
重大事態と認定してから2年以上が経過したが、いまだに公表されない理由は何か?
同市教委は「(被害者とされる)生徒・保護者との確認作業」とし、「公表したくない部分、個人にかかわる部分は配慮しなくていけない」と答えた。また、5月中の公表については「難しい」とした。
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第三者委は、いじめの有無についても調べているはずで、「もし、いじめと断定されなければ『被害者』『加害者』は存在しないことになるのでは」(関係保護者)との声も聞かれる。