■要因
15年度の網走市内の不登校児童生徒は22人だった。9年後の24年度は4・5倍の101人(小学生41人、中学生60人)で、全体の5%を占める。
不登校となる要因について、同市教委は「個別にさまざまな事由があることから、特に『これ』と特定するのは難しい」とする。
不登校児童生徒の増加は、国も同様だ。文部科学省は、昨年10月に公表した23(令和5)年度調査結果の中で、増加の要因について「保護者の学校に対する意識の変化」「コロナ禍の影響による登校意識の低下」などと分析する。しかし、様々な要因が重なっているケースも少なくなく、『これ』と特定するの簡単ではないようだ。
カウンセラーやソーシャルワーカー配置で
保護者・家庭支援にも力
■対策
同市教委は不登校対策として、「学校内の別室登校」「放課後学習」「オンライン学習」などに取り組んでいる。前年度から増員したスクールカウンセラーによる個別相談対応のほか、今夏にも配置予定のスクールソーシャルワーカーによる保護者、家庭支援にも力を入れる考えだ。
不登校児童生徒の対策の一つに、ネットの活用がある。コロナ禍を機に、国はデジタル教材の充実を図り、市内の小中学生にはタブレットパソコンが配備されている。
こうした環境により、自宅にいても学校の授業に参加することは可能となった。しかし、本紙取材では、オンライン授業の実施を拒む一部保護者の声により、学校に通えない生徒が授業に参加できなかったケースもあった。
こうした〝複雑化〟した背景の中、効果のある対策を講じるのは容易ではないのが現状だ。
…………………
小中学生には義務教育を受ける権利がある。この権利に応えるためにも、学校以外でも学ぶことができる民間運営のフリースクールのような存在は重要だ。行政側には、フリースクールへの手厚い支援策を講じることも求められている。