
■学びの保障
網走市内の不登校児童・生徒は増加傾向にある。2024(令和6)年度は101人で、過去10年で初めて「100人」を超えた。
不登校児童・生徒の学びを保障するため、文科省は19年10月、不登校児童・生徒が自宅においてデジタル端末などを利用して学習した場合、「学校長の判断により出席扱いとすることができる」とした。(※『ネット出席』とも呼ばれる)
ネット出席制度について、網走市教委は文科省から通知が届いた都度、市内小中学校の校長と情報共有している。
しかし、当事者(不登校児童・生徒、保護者)に同制度の「周知は行っていない」(担当者)とする。その理由は、次の通りだ。
「実施内容や方法、家庭との連携・協力体制の構築など、文科省の定める諸条件が整うことが必要となるため」
当然だが、当事者に周知していないため、網走市においてはネット出席制度により「出席扱い」となった事例はない。
■明確な説明
株式会社すららネットは今年8~10月、AI教材「すらら」を活用している不登校児童生徒と保護者400人を対象にオンラインで調査。学校や先生らからネット出席制度の「説明はなかった」と答えたのは、子どもが67・9%、保護者86・5%だった。
こうした結果は、網走市教委の不登校児童・生徒への対応と酷似している。
同社の調査結果の分析監修を担った、内田良・名古屋大教授は「当事者は混乱のなかで十分な情報を理解できていないことを含め、学びを継続するための方法を明確に伝える必要はある」と指摘している。