菊地さんは5歳からピアノを学び、全国大会や数々のコンクールで活躍。フルートを手にしたのは中学校の吹奏楽部で、ピアノと両立しながら中学高校でフルートを続け、フルートでも全国大会に出場した。北見北斗高校卒業後は洗足学園音楽大学のフルート科に入学、昨年首席で卒業した。
大学生の時からプロのオーケストラなどで演奏していたため、卒業後は「フリーランスでやっていこう」と考えていたという。そんな時「大学の先生からピースボートでの演奏の話があり、1回話を聞いてみようと事務所に行ったところ、その場で採用が決まり、船に乗ることになりました」と振り返る。
はじめての海外。しかも一度船に乗ると約100日、帰ることはできない。慌ててパスポートを取り、乗船する12月までにオーケストラやドラマBGM演奏など、担当していた仕事をこなし、準備を進めたという。
最初の乗船は「アフリカ・南米コース」で2回目は「アフリカ・ヨーロッパ・アラスカコース」。乗船したのは15階建て、乗客約2千人、クルー約800人で、乗客用のプールや映画館などはもとより、クルー専用のバーやプール、レストランなどもある大きな船。
菊地さんと同じ船上ミュージシャンの中には日本人奏者もいたがほとんどが海外の人で、主にペアとなったのはベネズエラ出身のピアニスト。「英語も少しは勉強しましたが、お互い母国語ではない英語で、試行錯誤しながらコミュニケーションをとりました」と話す。
演奏は主に1日3〜4回、30分のステージ。同じ曲をなるべく演奏しないように事前に500曲くらい用意して挑んだ。乗客は年配の日本人も多かったため、昭和の名曲もレパートリーに加え、リクエストにも応えながら演奏を続けたそう。 (菊)