相生線の始発駅「美幌駅」は1912(大正元)年10月に網走線の駅として開業し、24(大正13)年11月に相生線の始発駅となった。写真①は相生線最終日の1985(昭和60)年3月31日に撮影されたもの。写真②は当日行われた「さよなら相生線」イベントの様子。普段は1両編成で走っていたが、この日は7両編成で運行された。前田さんは「普段は閑散とした列車やホームが、これだけの人で埋め尽くされた。みんな廃線を惜しんでいたのでしょう」と振り返る。
2駅目は仮乗降場の「旭通駅」(写真③)。現在は「せせらぎ公園」として親しまれている。写真③の列車は美幌駅へ向かう最後の便。写真④は76(昭和51)年頃に撮影されたもので、旭通駅から上美幌駅へと向かう蒸気機関車の姿が残されている(現・せせらぎ公園)。
3駅目は「上美幌駅」(写真⑤)。現在は「上町自治会館」が建つ。周りは畑と草むらが広がっているが、よく見ると、線路があったと思われるかすかな形跡を感じられる。
次回は豊幌駅(美幌町)から「高校前駅」(津別町)までを紹介する。
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【相生線】
当初は美幌と釧路を結ぶ「釧美線」として計画され、1924(大正13)年に美幌駅から津別駅までの区間が開業し、翌年に津別駅から北見相生駅までの区間が開業した。この時点ではまだ、北見相生駅から釧路方面へ向かう延伸計画は残っていた。しかし、1931(昭和6)年に「釧網本線」が全線開通したことを受け、延伸計画は中止となった。
全長36・8㌔、14駅(駅8、仮乗降場6)の単線。地域に親しまれた相生線は、1985(昭和60)年3月31日をもって廃線となった。 (知)