北海道全域を襲った暴風雨が過ぎ去った2日、4本の木が倒れた石北大通で出会ったのはエゾリス。
まるで何事も無かったかのように、倒れた木の上を縦横無尽に駆けずり回る。エゾリスと倒木の会話が聞こえてくるようだ。
「あれ?なんかいつもと違うぞ」倒れた木の上で立ち止まると、エゾリスは辺りを見まわした。「もしかして、これでお別れなの?」「ああそうだよ。今までありがとな」
木に「さぁ、お行き」と促されたエゾリスは、一気に走り出すと、すぐ隣の木へと駆け上がった。
「最後までちゃんと見ていてあげるね」エゾリスはそっと手を合わせ、倒れた木を見守り続けた。エゾリスの目からは、光るものがこぼれ落ちたように見えた。 (知)
