
■命と財産を守れ
網走市の「防災ラジオ」は、電源が切れていても緊急時に自動で起動し、ブザーやアナウンスが流れる仕組みになっている。2019(令和元)年12月から無料貸与を始め、当初の対象者は①75歳以上の高齢世帯②災害時要援護者③区長・町内会長④民生・児童委員⑤70~74歳の希望者―などとしていた。
無料貸与するために用意した防災ラジオは7千台(1台の価格は約1万円)。初年度の貸与数は1541台で、過去の単年度実績で最も多く、市民の関心は高かったことを裏付けている。
貸与制度の創設時、市の担当者は「防災ラジオが市民の命と財産を守ることにつながれば」と、大きな期待を寄せていた。
■関心薄れ
防災ラジオの単年度ごとの貸与数を見てみると、20年度は1159台、21年度は284台に減少。22年度はさらに減って99台となり、初めて「100台」を割込んだ。
防災ラジオが対象者の大半に届けば、年間貸与数は徐々に減少していくのは当たり前だ。しかし、貸与数の減少ペースは想定を上回っていたようで、市役所には大量の〝在庫〟が保管される状況となった。
防災ラジオの在庫数を調べると、23年度末で3474台となっており、この時点で当初用意した7千台の約半分が役所などに保管されていた。
在庫を抱えた状況については、市議会でも度々、問題視された経緯がある。
市は、23年4月と11月、貸与対象枠の変更に踏み切る。その結果、年間貸与数は〝V字回復〟するのだが…
…………………
次回は、防災ラジオの無料貸与に関して、市がこれまでに投じた事業費の詳細などを紹介する。
